研究報告

精神科医療機関を受診した常習的窃盗行為を有する患者群の報告

清水裕美、齊藤麻里子、松本 功、村山昌暢、竹村道夫(特別・特定医療法人群馬会 赤城高原ホスピタル)

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抄録:

 万引き窃盗癖患者が医療機関を受診することはまれであり、その治療を行う施設はほとんどない。
 赤城高原ホスピタルはアルコール・薬物依存症の専門治療施設であるが、この問題に関心を持ち治療を行っている。
 平成20年年初から8カ月間に、当院とその関連クリニックを受診した窃盗癖患者は、45例(男性11例、女性34例)であった。
 患者本人とその家族の陳述、前医の紹介状、臨床所見などから、その患者群の臨床的特徴を調査した。
 26例はインターネット検索から、当院の窃盗癖治療プログラムを知り、受診していた。合併精神障害としては、摂食障害(31例)が最も多く、そのほとんどが20〜30歳代の女性であった。その他、薬物依存症(21例)、アルコール依存症(17例)などが多く、気分障害、強迫性障害などもみられた(複数回答)。我々は、常習的窃盗行為に対し、嗜癖問題としての観点から治療することが可能であると考えている。

索引用語:常習的な万引き窃盗行為、クレプトマニア、摂食障害、物質使用障害、インターネット検索
habitual shoplifting and stealing, kleptomania, eating disorder, substance-related disorders, internet search