研究報告

心療内科実地臨床におけるFAP(不安からの解放プログラム) II. 統計学的検討と手技に関する考察

久藤文雄(伊勢久藤内科医院)

  • ■文字の大きさ:
  • 小
  • 中
  • 大

抄録:
  心療内科の実地臨床にて、FAPの効果を統計学的に検証するとともに、特に本療法の独特な診断および治療手技について考察した。

 対象は男性39例、女性61例、計100例であり、DSM-IVにより診断し、合計25項目に分類した。FAPの効果には普遍性があり、統計学的検定にて、施行直後にはSubjective Units of Distressにて評価した自覚症状の著明な改善がみられ、有意な改善効果は2-4週間以上持続することが確かめられた。思考の場療法(TFT)とは異なり、各時系列点における効果に男女差はみられなかった。

 FAPの診断および治療手技について、著者は「大嶋原法」を改変し、「結印法」により診断し、鍼灸理論を基礎として「治療ポイント」を採択した。そのことの意義や関連する諸問題を、TFTとも比較し、主に中医学の立場より考察した。

 FAP診断の特異な手技の理論的解釈を可能にするために、特に最近の脳科学の成果である「ミラーニューロン」の働きを重視し、「ミラーニューロン」と、脳地図上にてそれに直近し、「指」の領域が比較的広い、運動野や体性感覚野とを連絡する経路として、著者は「FAP神経路」の存在を新たに想定した。

索引用語:FAP神経路、不安からの解放プログラム(FAP)、結印法、ミラーニューロン、思考の場療法(TFT)

[次の文献→]