2007年03月の一覧

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2007年03月02日

CBT講座5日目(8)実験に対しての構え

 さて、実際にこれから先、実験として行動を試してみてください。

 実際にやってみて、その行動実験が自分にとって好ましい実感をくれるのであれば、それは継続しましょう。どんないいことでも、問題がなくなると止めてしまって、いつも間にやらまた元に戻るかのように問題状況に以前と同じ癖でもっている人がいます。

 問題がなくなっても、自分にとって有益であれば、それが自分の新しい癖となるまで継続してください。少なくとも3ヶ月は必要でしょう。1年ぐらいはやってみる、やってもよさそう、といった計画の方がやっていくことが楽しいですよ。

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 計画してやってみたけれども、それは全く意味を感じなかった、やっていて自分にとって好ましい新しい信念を活性化するようなものではない気がしているのであれば、それは実験がうまく行かなかった。
 その場合には実験を見直してみましょう。問題が解決しないのではなく、やり方を再検討すればよいのです。

 行動を私たちが自分の困った信念に気がついて、それに適切に対応していくことができるようになると、かなり問題はへんか

 次に、ちょっと前に考えてもらった信念が変わるとどのようないいことがあるのか、確認してみてください。
 それを経て、問題が生じると次の作業として、今までやってきた方法を改めて紹介しておくと、その信念(考え)がいかに事実に即しているのか、また事実に即していないことはあるのか、を確認してそれぞれ書き出してみることは、思考記録表の根拠・反証と同じような作業となります。

2007年03月02日 16:22:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2007年03月06日

CBT講座5日目(9)実験の継続に関して

 行動実験を継続することで私たちがもつ自分の困った信念に気がつきやすく、それに適切に対応していくことができるようになっていくと、様々な変化を感じることでしょう。

 前回、実験に対する構えを説明しましたが、結局どのように実験を継続しやすくして置けるかがとても大切なポイントになります。
 認知行動療法では、「コーピングカード」や「コーピングシート」といったものを活用しますが、それは、

古い信念(あるいは困った自動思考)
    ↓
新しい信念/新しい信念を活性化させるような行動実験計画

コーピングカードの例

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 を定期入れや財布に入れられるような小さな紙などに書いて、繰り返して目を通せるようにするものです。

 心理療法において、深い洞察が出来れば問題は自然に変化すると主張する人もいます。それは正しいかもしれません。ただ、いつもいつも深い洞察が出来ればよいのですが、そうでない時にはどうすればよいのでしょうか。
 または、問題が自然に変化するほどの洞察が出来たかどうか、問題の変化を観察して結果を見るのでしょうか。

 認知行動療法では、洞察を否定するわけではありませんが、変化を促す際にそれを起こりやすい状況を作っていくことが大切だと言っています。
 特に、せっかく考え出した新しい信念や実験計画も、それ自体を忘れてしまっては元も子もありません。そして、忘れてしまうことが本来自然なのです。

 前述のようによほど大きな衝撃的なほどの洞察による変化を体験していない限りは、自然に出てくるのは昔からの問題となるようなくせなのです。そして、それに対処できるように繰り返し、自然になるまで確認を繰り返していくのです。

 洞察の有効さも感じながらも、計画の大切さも感じております。そして、私自身はその二つの間を渡り歩きながらも特に問題を感じておりません。

2007年03月06日 15:08:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2007年03月09日

CBT講座5日目(10)得たものを生かす

 ちょっと前に考えてもらった信念が変わるとどのようないいことがあるのか、確認してみてください。

 本講座においては、思考記録表を中心に様々なツールを活用します。人によっては他の人とのシェアを通して、または境界線の取り扱いや感情の把握、中核信念について、その他講座において検討された議題など役立ったものが違うと思います。
 人によって自分にとって役立ったものは違います。そこで、自分にとって役立ったと思うものを書き出してください。そして、その役に立ったものを今後どのように生かすのか、検討してください。

 多くの人が、認知行動療法を問題に対処するためのものと限定的に考え、セラピーを終えると共に再度問題に巻き込まれていく人がいます。
 講座や個人セッションが終わると、問題が終わったかのような気になって、せっかく獲得したことをもはや生かす必要はないものだと考えてしまいます。確かにそれで済むことも多くはあるのですが。

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 認知行動療法における様々なツールやスキルは、問題や問題を引き起こすような中核信念などを不活性にするためだけに活用するわけではありません。
 当然、最初は問題に対処されていく必要はありますが、ある程度問題がなくなっていったり、その問題が生じる割合が減って恐れるに足らないものとなってきたら、それらのスキルを自分の肯定的な目標のために活用することもできます。

 例えば、新たに事業を起こして行きたいと夢見ている人がいるとします。この夢を実現に移していく際の懸案の検討など、認知行動療法がそのアプローチのスキルを提供してくれているのです。

 認知行動療法の究極の目標は、クライエントが自分自身のセラピストになっていくことです。自分のセラピストになっていくことを学んでいき、それを問題が再発しないためだけでなく、豊かな生活を送るために活用して欲しいと思います。

 昨年、専門家向けに1DayのCBTのWSを行いましたが、基本をお伝えするのが限界で、それを実践レベルにまで持っていくのは難しかったように思います。
 CBTを多少なりとも体系的に理解して活用していこうと思うのであれば、数回でも継続的な回数が必要だと思いました。基本となるアプローチを教えてくれる様々な本などもあるので、それらも活用できることと思います。

 今回の一連のブログを通して、講座の流れを簡略してお伝えしましたが、6回の継続的コースでようやくその端緒に着いてもらっている気がしております。
 今後のブログでは、今年の最初にお伝えしたように様々なツールを説明したり、CBTを通してみた物事の把握を検討したりしていきます。

玉井仁の認知行動療法セミナー

2007年03月09日 17:37:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2007年03月13日

認知モデル(1/4)ソーシャライゼーション

 認知行動療法は、「認知」という言葉を使っているからか、とても理性に訴えるアプローチであるかのようにとられることが多い。そして人によっては、「考え方を何とかすればよいのだ」と考えていく。

 この考えに間違いはないのだが、間違った方向に行き過ぎると、この次の考えは
「考え方を何とかしなければならないと言うことは、私の考えが悪いということだ」
 となり、
「どのように考えればよいのか分かっているのに、そう考えられない自分はダメなんだ」
 となっていき、きっちりと嫌な感情に捉えられていく。
 せっかく、認知行動療法をやろうとしたのに…である。

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 認知行動療法は、確かに考え(認知)を取り扱うことが多いし、同様に行動も取り扱う。
 一方、認知行動療法の目的とは、自分が楽になれるような考え(認知)を探すこと、自分が楽になっていけるような行動を探して行うことである。

 自分の問題に対して、認知行動療法を選ぼうがどうであれ、多くの人は問題に対して
「本当は…のように考えられたら良い」
「本当は…のように考えるべきなのに」
 と、認知行動療法による検討を始めなくても既に理想となる代わりとなる考え方を持っている。しかし、本当の問題は、そのような理想の考え方が自然に出来ないことなのである。

 大切なのは、認知が影響を及ぼしている感情を改善することである。
 そして、認知行動療法を進めていくにあたってまず大切にされることが、認知モデルのソーシャライゼーションである。認知モデルをクライエントに伝え、理解してもらい、様々問題をこの認知モデルに沿って見ることが出来るようにしていくことが、ソーシャライゼーションである。

2007年03月13日 15:45:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2007年03月19日

認知モデル(2/4)仮説

 前回は認知モデルのソーシャライゼーションについて触れたが、今回は認知モデルについてもう少し詳しく述べる。

 認知モデルは、簡単に言うと、状況⇒認知(考え)⇒気分という順番に沿って、私たち人間は物事を把握している、という仮説である。

 私のスーパーバイザーの一人である齋藤学先生は、最近の認知療法の隆盛について、「脳科学の勝利」だと言っていたが、まさに脳についての研究と認知モデルには決して切り離せないところがある。
 私は脳の研究者ではないが、脳について少しこのブログにおいても語って行きたいと考えてはいるが、まずは認知モデルに戻ろう。

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 以前、あるグループでこのような話を聞いた。
「道路で石に躓いた時に、どんな気分になるだろうか。そしてそれは、その気分に先行するどんな考えによるのだろうか」
 という質問である。

 20人近くいた人たちは、皆、多少の似たものは持っていながらも異なった反応を訴えた。
 ある人は、「恥ずかしい、誰かに見られたのではないだろうか」とし、「苛立つ。誰だ、こんなところに石を置いた奴は」とする。また他の人は、「悲しくなります。これからどうなるんだろう、ちゃんとやっていけるだろうか」としたり、「焦りが出ます。急がないといけないのに」とする人もいました。

 設定した状況は、同じもので、それほど複雑なものではありませんよね。人により、同じ状況においても反応の仕方が違うのです。
 人はその状況をどのように捉え、その結果としてどのような気分になっていくのか、そして人によりその反応の仕方は違う、それが認知モデルが伝えていることです。

 状況、すなわち事実と、認知、すなわち考えと、気分は全て別物なのです。そして、それらが別物であると言うことを認知モデルは言っており、そのこと自体が認知に対するアプローチも含めて教えてくれるのです。(続く…)

2007年03月19日 16:21:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2007年03月23日

認知モデル(3/4)事実と客観

 前回は、認知モデルがどういったものかを説明した。そして、大切なことは、「状況、すなわち事実と、認知、すなわち考えと、気分は全て別物」ということでした。

 問題状況では、大体においてこれらが混乱し、混ざり合い、どうしてよいのか分からなくなってしまいます。
「客観性を持てるようになればよいのか?」、と聞いてくる人がいます。確かにそうかもしれません。「客観性」と言う言葉は、それなりに有益かもしれませんが、私個人はその言葉が持つ限界を理解したうえで活用することを勧めます。完全なる「客観性」などはなかなか難しそうに感じるからです。

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 「事実」は「客観」か?確かに客観に近いと思います。その中における主観はどこにあるのか。その事実を、他の事実を背景としてでも選び出したのは主観?
 いずれにせよ、事実に関しても、それぐらいのスタンスで関わっていくことが必要だと思います。
 科学者ってそういうものです。科学者は、科学が物事を説明しきっているとは考えていません。今現在持っている言葉で、どのようにその状況を説明できるだろうか、と謙虚に当てはめて言っているに過ぎないのだと思います。

 少し論題からずれてしまった感がありますが、ここで言いたかったことは、「状況、すなわち事実と、認知、すなわち考えと、気分は全て別物」であり、それをいつも維持することは難しいけれども、そのように分けて考えてみるスキルを持てるだけで、随分と物事を楽に見られるものですよ、ということです。

2007年03月23日 14:56:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2007年03月26日

認知モデル(4/4)考えと気分

 考えと気分も別物です。
 「今の気分は?」と聞くと、「…が嫌だったんです」と考えが帰ってくることは自然なことです。

 人は、それほど考えと気分を厳密に分けて捉えてはいないものです。また、考えと気分を分けて捉えると言うことは、人にとって自然に出来る生まれ持ってのスキルではないと言うことでしょう。

 認知心理学においては、考えが先か気分が先か、という論争が長く続けられており、この論争に決着がついている訳ではありません。
 認知療法の新しいアプローチにおいても、思考と気分が同時に起こっていると想定したモデルを作成するものがあります。しかし、まずはオーソドックスな認知モデルに基づき、状況(事実)⇒考え(認知)⇒気分、となっていくとします。

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 先程の例ですが、「…が嫌だったんです」と言った人が、その考えの結果楽しい気分になったとはあまり考えられません。例えば、不快(私の意に反する)、苛立ち(なんで私の思うようになっていないんだ)、焦り(何とかしなければ)、悲しみ(そうあって欲しくはなかった)といったような、様々な気分が想定できますが、多分喜ばしいものではないのでしょうね。

 ここで大切なことは、考えに沿った気分が出てきているのです。このことを説明するために、認知療法においては、ベックのよって「認知内容特異仮説」が提出されています。
 難しい話には入りませんが、ごく簡単に言うと「そんな考えならそのような気分になるのは分かるよなぁ」ということです。
 考えと気分は別物であり、それぞれ関連があるものなのです。私は不幸だ、と考えて嬉しい気分は自然と出てこないのです。

 補足しますと、セルフモニタリングを続けていると、「私は不幸だ」(思考)⇒憂うつ(気分)⇒「またこう考えているぞ、困ったもんだなぁ」(思考)⇒楽しい(気分)となっていくことは可能です。
 練習はいりますけどね。

2007年03月26日 17:18:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ