2006年11月の一覧
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2006年11月01日
CBT講座3日目(8)思考記録表の例 Aさんの場合
どうでしょう、Aさんも出してみませんか。
A:いやぁ、ちょっとうまく書けていませんし。
T:さて、それでは簡単に今の状況を確認してみましょうか。いいですか?
A:あ、はい。
T:まずは今の状況は明らかですよね。
===
A:はい、先生に思考記録表を出してみろと言われたということでしょうか。
T:そうですね。そして気分は?
A:不安とか
T:他には
A:緊張、憂鬱
T:なるほど。そして今頭の中にどんなことが浮かんでいるのでしょうか
A:「ちゃんと出来ているだろうか」ということでしょうか。
T:他には
A:恥ずかしさもあります
T:それは気分ですね。いいですね。気分がより明確になってきましたね。今のはセルフ・モニタリングですよね。状況があって、浮かんだ考えがあって、結果としての気分もある。行動も少し積極的でなくなってしまいがちなんですね。そのまま少し進めてみましょうか。
A:はい。やってみます。
T:自動思考が疑問形なので、はっきりとわかりやすく「ちゃんとできていない」としてあげて進みましょう。
[TR3]
2006年11月01日 17:13:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]
2006年11月06日
CBT講座3日目(9)考え・行動 過去・現在
T:いいですよね。行動計画がとても明確ですよね。それがAさんの気分の軽減を推し進めたようですね。考えだけで何とかするということよりも、具体的どのようにやっていこうということが明確になることで気分の変化に、そして行動計画を具体的にしておくことで行動の変化に繋がり、その変化を維持しやすくなりますよね。
CBTは認知だけではなく行動も重視します。状況が行き詰っている時には、行動をより重視します。ある程度何とかなっているけれどもちょっとなぁ、という時には思考をより重視します。どちらもバランスで大切なんですよね。Aさんいかがでしたか。
===
A:ちょっとしたことでも書けるんですね。どうしても抵抗があったのですが、こうやって見ると少しすっきりしました。
T:ほう、それは良かったですね。後は計画がどれぐらい忘れずに続けられるか、ということでしょうかね。適応的思考の場合もそうなのですが、自分に納得がいく適応的思考であっても、計画であってもそれを忘れないようにすることが必要です。コーピングカードやコーピングシートといったものを活用できると良いですよね。
ちょっと普段から目に付くところに決めた行動を貼っておいたり、日常的に思い出したい考えを例えば財布のすぐに目に付くところに入れておくなどして、自分自身に自分にとって好ましいと思うことを思い出させてあげるようにしてください。どんないいことでもたまに忘れてしまうことがあるんですね。深く自分自身の中にアンカーされていない事柄は、自分の中に定着するまでは少しじっくり進めていくと良いと思います。
以前、パニック障害の方が書いた思考記録表を、自身のお守りとして持ち歩いてパニックが起こりそうになった時には見直すなどして、克服した人がいました。パニックになる時にはもうどうしようもないんですよね。なんかいい考えなんかその状況ではなかなかひらめかないものです。よって、事前に書いておくんです。見やすいところにどう考えるか、どう行動するか、書かれた物があってそれを目にするのが目一杯でしょうから。
さて、ここまで何か質問はありますでしょうか。
A:少し具体的になってきた気もするのですが、どうしてこうなったのか分かりますか。
T:全ては分かりません。ただ、少し背景を振り返ってみることはできると思います。次回のセッションで、中核信念の取り扱いに入りますので、その際に一緒に検討してみましょう。よろしいでしょうか。
A:はい
T:CBTでは、過去の分析には沢山の時間をかけません。ただ、その人がどういった経験をしたのか、どういった状況を経て今に至っているのかを理解することで、現在ある癖を理解していくことは可能です。時々あるのですが、何で問題が生じているのかを研究するあまり、その問題にどう対処していくのかがおろそかになることがあります。どちらも必要だと思います。
CBTでは現在のことが扱われる、ということがしばしば語られることです。ただし、これは過去を一切扱わないのではなく、現在を侵食している過去は現在のこととして取り扱います。現在を取り戻す為に必要な作業になりますから。
2006年11月06日 15:59:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]
2006年11月10日
CBT講座3日目(10)考え方のくせのリスト
さて、最後にちょっと考え方の癖についてご紹介しておきたいと思います。後で注意点も書きますので、それも必ず見てくださいね。
考え方のくせの定義
1:白黒思考(全か無か思考):状況を極端な2つのカテゴリーで考えてしまう
2:過度の一般化:たった一つの嫌な出来事があると、実際をはるかに超えて世の中全てこれだと考える
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3:心のフィルター(選択的抽出):全体を見ることなくたった一つの嫌な事にこだわることにより、現実を見る眼が暗くなってしまう
4:マイナス化思考(トンネル視):状況に対して、良い出来事を無視してしまうことにより否定的な側面しか見ない
4-1:肯定的側面の否定や割引:良かった自分の経験、功績、長所などを不合理に無視するか割り引く
5:結論の飛躍:根拠もないのに悲観的な結論を予測してそれが起こると信じる
5-1:心の読みすぎ(読心術):現実な可能性を考慮せず、相手が自分に対して悪く考えていると早合点する
5-2:先読みの誤り:事態が悪くなると決め付ける
6:拡大視・縮小視:自分の失敗を過大に考え、成功を過小評価する。逆に他人に対しては反対の事を行なう
7:感情的理由付け:例えば「こう感じるのだから、それは本当のことだ」と自分の憂うつな感情を自分の現実認識が正しいという理由とすること
8:「べき」「ねばならない」思考(命令型思考):自分や他人の振る舞いや考えに対して固定された思考を要求し、それが実現しない事を最悪な事と考える
9:レッテル張り:極端な形の「過度の一般化」であり、ミスをした自分や他人に対して、固定的で包括的なレッテルを貼ってしまう
10:個人化:何か嫌な事柄が起こった際に、自分に責任がないような出来事に対しても自分のせいにしてしまう
2006年11月10日 16:00:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]
2006年11月13日
CBT講座3日目(11)リストの注意点 くせの修正について(1/2)
T:さて、いかがでしょうか。見てみると、どれも当てはまるという人もいるでしょう。
ここでちょっと注意点ですが、この「考え方のくせ」についてです。このようなくせのリストは認知療法、認知行動療法の本などを読むとたいてい同じようなものが並んでいます。「認知のゆがみ」と言ったりもします。
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歪みというとどうも嫌なものとして捉えてしまう人が多いので、私は「くせ」と呼んでいます。誰にでもあるものですし。また、このようなリストを、自分は如何にダメなのか、を確認するために見ていく人がいます。
でもちょっと待ってください。このようなリストは、認知療法がスタートしたアメリカから始まって世界中で使われているのです。何十億という世界中の人が似たようなくせを持っているのです。そんなものであることを良く知っておいてください。
今まで思考記録表の中の自動思考で書いたものが、上のどれかに当てはまりうるものか検討してみてください。そして、あなたはどんなくせを活用しやすいのか、気がついておいてあげて下さい。(続く…)
2006年11月13日 10:56:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]
2006年11月16日
CBT講座3日目(11)リストの注意点 くせの修正について(2/2)
くせをすぐにどうこうしようとしなくても結構です。ただし、知っておいていただきたいのはどのようにくせを修正していくかです。
一例ですが、鉛筆を随分と変な持ち方をしている子供がいるとします。その子のくせをどのように修正してあげるとよいでしょうか。見つける度にどなりつけるのか、その度に持ち替えさせるのか、一度持ち方を教えた上でまたやっていることに気付かせてあげるのか、いろいろな方法があると思います。
どうしたらよいでしょうか。
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D:最後のがいいですね。できるだけ褒めてあげると良いと思います。
T:なるほど、そうですね。少なくとも不必要に怒鳴り散らされたり、過干渉でダメ出しをすることのメリットは少ないようですね。自分自身のくせについても、同じように接してあげる必要があるとは思いませんか。
自分自身に対しても、くせの修正の際には丁寧にしてあげる必要があります。場合によっては計画をきちんとして、リハビリをしていくようなものです。焦らずにくせと付き合ってください。今まで、沢山の方にお会いしていますが、くせのない方は未だかつて一人もいません。一つのくせがなくなったとしても他のくせがあります。新しいくせも出てきます。それらと付き合っていくのも、苦痛と言うよりもそれなりに楽しいものだと思います。
今日はここまでにしたいと思います。いかがでしたでしょうか。次回は、今回取り上げた何でこういう問題があるのか、と言ったことについて、自動思考から少し踏み込んだ中核信念(スキーマ)について検討していきたいと思います。思考記録表は、練習になるので継続して書いてきてください。ありがとうございました。
2006年11月16日 15:32:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]
2006年11月21日
CBT講座4日目(1)振り返り(1/2)
T(玉井):さて、今日もよろしくお願いします。
今日は連続6回のうち4回目ですから、既に半分を超えたことになります。
いかがでしょうか、何かここまで振り返ってみて質問などありますか。
思考記録表については、練習をしてうまくなってくださいと言っていますし、前回も宿題にさせていただいたので、それに取り組む中で考えたことなどでも良いのですけど。
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A:質問と言うわけではないのですが、このところいろんな出来事がある際に確認できるようになってきている気がするんです。
「あっ、今この気分になっているのはこういう考えが出てきたからだな」
といったように。
思考記録表には書いていないのですが、どうでしょうか。
T:いいじゃないですか。すばらしい。まさにセルフ・モニタリングをやってらっしゃるんですよね。
いつも思考記録表に書けるわけではないですし、後で振り返ってみたい時にはその時に思考記録表に書いてあげればよいでしょう。
セルフ・モニタリングがうまく行っている時には、自動思考で自分の考えに気がついている、自分自身の考えと一定の距離がとれて振り返れていることもあり、状況を振り返ったこと自体が適応的思考及び行動がうまくコントロールされていることにより、根拠とか先に行かなくて良いこともあります。是非続けてください。無理なく。
他にも何かありますか。
2006年11月21日 15:42:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]
2006年11月24日
CBT講座4日目(1)振り返り(2/2)
C:まだちょっとはっきりしないんですけど、認知行動療法を練習していて、自分自身を納得させるように考えてしまっている自分がいるような気がしています。
T:えーと、自分を納得させる、正しいと思っている考えを自分に言い聞かせているような?
C:そうです。先日、母親との事でもう何もできないなぁ、って2日ぐらい沈んだ感じだったんです。でも、そうしたらちょっとづつ変わってきたんです。気分が。そのことを振り返った時に、今まで一生懸命何とか距離をとるんだよ、と言い聞かせて少し不自然な気分になっていた自分がいたことに思い当たりました。
距離とるということと同じことなんですけど、もうどうしようもないなぁ、と感じることを受け入れていったほうが自然な気分の変化が生じた気がしたんです。
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T:すごい、いいですね。自分を結果として楽にする自然な流れが確認できたのですね。自分自身の感覚に対するセンサーが働いていないとなかなか出来ないですよね。自分自身の確認をされていたということですよね。
それだけ大変な状況なのでしょうが、それだけ真剣に取り組んでいらっしゃるから見えたことかもしれませんね。是非、自分自身の感覚の確認を続けてください。
自分が見えにくい感情や考えと言ったくせも益々分かりやすくなってくるものですよ。
C:あまり言わないで下さいね。一生懸命にしなければと焦ってしまうから。
T:そうですね。今そのように自分の感覚を確認しながらでいいでしょう。ゆっくりいきましょう。いきなり全てが変わる訳ではないので、丁寧にいきましょう。
2006年11月24日 17:34:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]
2006年11月27日
CBT講座4日目(2)中核信念とは(1/2)
さて、では今日やっていきたい事を説明しますね。
今日は中核信念について説明させてもらって、その上で皆さん自身の中核信念について検討して言ってもらう予定です。
今までにも何回か中核信念については簡単に触れた事があったことと思います。これは絶対的信念やスキーマと呼ばれたりもすることがあります。ここでは中核信念と言っていきます。
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中核信念は、簡単に言って自動思考を出してくるおおもとの根っこみたいなものだと考えて下さい。この根っこは、人が考える方向性を与えるようなものと言ってもよいかもしれません。
例えばですが、否定的な根っことして「私はダメだ」といったものを持っている人がいるとします。その人が何かに成功しても「きっと今回だけだ」「ちょっと良くなったらその後は激しく落ちるんだ」といったような自動思考を導くことでしょう。
一方何かに失敗した時には「ほーら、やっぱり、こうなると思った」というように一定の自動思考を導くことが考えられます。
このように、様々な事柄の領域に渡って広く方向性を影響するような事柄を中核信念と呼んでいます。
2006年11月27日 13:48:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]