2006年10月の一覧

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2006年10月02日

CBT講座3日目(2)思考記録表の例 Cさんの途中まで

 では早速内容に入りましょう。普段はお互いに書いてきたものを検討してもらう時間を取るのですが、前回と同様に皆さんが書かれた思考記録表を検討していきましょう。その中で、思考記録表のちょっとしたコツや、考え方の癖と言ったものも探せたらよいですね。

 どなたかまず自分の書いてきた思考記録表を提示してもらえる方はいらっしゃいますか?

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C:はい、途中までですけどいいですか。反証が出てこなくて。

T:もちろん。さていかがでしたでしょうか。(思考記録表の背景の部分を簡単に聴取。背景の部分はその場で書き加えたもの)今、背景を聞かせていただきましたが、状況を明確に捉えられているのは素晴らしいですね。

 少し背景が分からないとCさんの現状が想像できない面もあったので簡単にお伺いしましたが。一生懸命やってきているんですね。

TR2−1

2006年10月02日 15:46:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2006年10月10日

CBT講座3日目(3)思考記録表の検討からマインドフルネスまで

T::いいですねぇ。母親との関係ですね。それがCさんの問題を継続させているよう考えているのですね。なるほどね。気分で「その時」と「今」を分けられたのは素晴らしいですね。マインドフルネス効果もあると思うんですよね。

 ちょっと脱線しますが、認知行動療法(CBT)において、マインドフルネスということが最近よく語られるのですが、今に焦点付けることはマインドフルネスにもとても有効なことです。
 マインドフルネスとは、あるもの(状況・思考・気分・その他なんでも)をあるがままに把握することを言うのですが、ちょっとした練習が必要です。

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 話を戻すと、自分でホットな自動思考を特定できているのも素晴らしいですね。確認してみると、今(書いたとき)の気分で一番高いのは不安の100%で選んだ自動思考の「母親が何とかならない限り、私はもうどうにもならないのではないか」と内容的にも一致していますね。
 Cさんいかがですか。今もこの自動思考はあなたにホットな感情、つまり不安とかを生々しく感じされますか?

C:はい、そうですね。「わたしはダメだ」と言うのはいつもあるのでその不安とも言えるんですが、母親がまとわりつくような感じがしていてそのことを取り上げてみたかったので。

T:はい、ではまずは母親との線をどのように引いていくのか、と言った検討でも出来るといいのですかね。進めてみましょう。根拠は見事ですね。事実のみが記載されている。多くの場合には、自分の考えが書かれていることが多いのです。
 後でまた説明しますが、常々私が強調している『境界線』がある程度あるということでしょうか。反証は難しかったのでしょうか。

C:・・・

2006年10月10日 10:25:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2006年10月13日

CBT講座3日目(4)反証の難しさ「事実の取り出し方」適応的思考「葛藤の有効活用」

T:反証は、このホットな自動思考が必ずしも正しくないといった事実ですよね。確かに反証は探しにくいんですよね。自分の考えと違っている事実はしばしば見落としがちになるのが人ですしね。

 さて、でもここではちょっと反証を探して見ましょう。今まで母親との関わりの中でお互いに良かったという気持ちになったことを探そうとするとすぐに浮かばないこともあるでしょうね。でもその他に、母親が関わらなくてもうまく行った事や、良い経験をしたこととか、全くないですか。
 母親も知らないような友人とか恋人と楽しい時間を過ごせたとか、ちょっと人と楽しく笑い合ったと言ったことでも構いません。

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C:そうですね。確かにそう考えてみるとちょっとありますか。(記入)

T:適応的思考についても検討してみましょう。

 根拠と反証といった相反する事実がありますよね。本来、ここで根拠と反証があると困るんですよね。というのは、根拠は自分の考えが正しいとする事実、一方反証は考えが必ずしも正しくないと言う事実ですよね。葛藤するんです。この葛藤こそが大切だと思うのです。

 皆さんも小学校の時でも普段の仕事や対人関係とかいつのことでも結構なんですけど、なんかどうしても解けない問題や困難があって、何とかしようと一生懸命してもなんともならない。で、他にもしなければならないことはいろいろありますからそっちに気持ちを向けて他のことに取り組んでいる時に、まるでひらめくかのように「あっ、あれはこういうことだったんだ」といった経験は多少あるのではないかと思います。これが葛藤の成果です。

 葛藤して向き合って取り組んで、時間がたってそれから離れた時に浮かんでくるもの。そういったものは適応的思考です。もちろんすぐに出てくる適応的思考も大いに結構なんですよ。

C:じゃ、ちょっとやってみます。(記入)

T:今の気分のチェックもしておきましょう。さあ、できました。
TR2−2

2006年10月13日 13:39:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2006年10月17日

CBT講座3日目(5)マイナス思考でよし 嫌な気分もよし

T:いかがですか。

C:ええ、書けてよかったです。

T:何が良かったですか。

C:「母親が嫌い」と書けた事です。今までどうしてもそういうことは罪悪感が強くなってしまって、いけないことのように感じてきたので。

T:いいですね。

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 適応的思考は、自分自身が楽になる考えであればそれでいいのです。プラス思考という言葉がありますが、プラス思考にすらこだわる必要はない。マイナス思考だって随分と楽にしてくれるものです。
 確かに「人が嫌い」なんてあまりプラスではない表現なのかもしれませんが、それで気が楽になることによって先々更に考えの変化が続くことでしょう。
 一生懸命自分に「母親も大変だったんだ、母親のせいにしてはいけない」なんて言い聞かせても何ともならないこともあります。そういう点で、私はマイナス思考が結構好きですね。プラスで無ければならないと言うのは、ちょっと疲れすぎます。

 さて、この思考記録表について何か質問はありますか。

A:Cさんの思考記録表の「今の気分」の欄において、怒りは下がっていませんけど、何ででしょうか。下がった方がいいのではないでしょうか。

T:大切なポイントですね。思考記録表を書いたら何が何でも全てのマイナスに感じやすい気分が減少すると言うことではないんですね。幾つかの理由があるかと思います。

 まず、思考記録表に明らかにされていない事実や思い、考えの癖が潜んでいることはありえますね。思考記録表を書いていくことによって自分のそういった癖に気がつくこともあるかと思います。その場合には、それらの考えが私達を煩わせて何とかしたいものであれば、それを次の思考記録表で取り上げることも出来るかと思います。

 また、減らない方が良い気分・感情もあります。この場合ももしかしたらそうかもしれません。危険な人に対しては、一定の否定的な気分があることによってその人から線を引こうとすることも多々あります。逆に、危険な人に対しての否定的な気分すらも、否定的なものは良くないからと肯定的なものにしてしまうと、また危険な人との関わりで危険な思いをすることになります。それはやめましょう。

 この場合は、母親に対して一定の怒りが持続することで、ちょっと大変だけれども自分が母親と線を引いて付き合えるようになるスキルを身につけるまで、線を引いて付き合うことが出来るのです。

 否定的な気分というのも大切なものです。怒りや恐怖といった気分はあまり持ちたくないかもしれませんが、それらがなくなってしまったら大変なことになってしまいますよ。

 さて、他にも質問はありますか。

2006年10月17日 10:31:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2006年10月23日

CBT講座3日目(6)『境界線』の大切さ

 無いようでしたら、少しこの思考記録表を使って少し説明の補足をしましょう。もう十分なんですけどね。思考記録表が教えてくれることは山ほどあるのですが、少し共有してみましょう。Cさんいいですか?

C:はい

 まず、Cさんが既に書いてこられた部分についてですが、状況はとても明確で適切に物事を起こった事実としてみることが出来ていますよね。次に気分の欄については既に話しましたよね。結構人によっては難しいんですけれども。特に、今の気分をその時の気分と分けて捉えていらっしゃるのは素晴らしいですね。

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 そして自動思考。ここで簡単に気分の欄と一緒に振り返ると、Cさんはちょっと困った自体の時に衝動的に怒りとかがコントロール出来なくなりやすいようですが、その後に落ち着くに従って先々のことで不安になってしまうようですね。怒りから不安へと気分も移り変わっていくようですね。普段もこのようになっているのではないですか。さて、今は先に行きましょう。

 根拠と反証についてですが、まずはこのように事実が的確に書かれているのは好ましいですよね。思考記録表の自動思考と根拠の間の線を私は『境界線』と呼んでとても重要視しているんですね。その線から左の二つの欄は気分・思考ですよね。
 これは皆さんの内の事柄です。考えや気分が自分の外から来るという人はいないと思いますがいかがでしょうか。もしいるという場合には、それは妄想ではないかと思いますが。次に先程の境界線の右側の二つの欄は根拠・反証と事実を扱っている部分ですよね。この事実とは、「第三者が観察できるようなもの」というもののことで、自分の外側の事柄です。

 このように自分の内と外を明確に分けて、明確にすることで何が起こっているのかを整理しやすくなりますし、その結果自分が何をしていけばよいのかもはっきりとしていきます。普段皆さんも体験することもあるかと思うのですが、なんとなくぐるぐるとある考えに囚われてしまってどうしようもなくなることってありますよね。何を考えているのか全て書き出してみると同じようなことが繰り返されているに過ぎないことに気がつくのですけど、事実を明らかにすることで頭の中の堂々巡りを解消しやすくなります。

 今言ったような「頭の中に浮かんでいることを全て書き出してあげる」といった方法も有効なことがあります。頭の中身を紙の上においておくと言うことですね。脳はある状況では混乱しやすいのですよね。

2006年10月23日 17:34:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ

2006年10月25日

CBT講座3日目(7)『境界線』の大切さ2 脳の限界?

 私は脳は素晴らしいものだと思うのですが、同時に脳がいかに私達をだますのか、ということにも思い当たります。

 脳は万能ではなく、使い勝手を気をつけて付き合えばかなり役に立ってくれるものだと考えています。

 脳の話は今は置いておきましょう。私も専門ではないのですが、勉強していくととても楽しい領域です。

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 脳の話はさておいて、しばしば問題状況にぶつかっている人が、「自分の意志が弱くて」という方がいます。思考記録表でも「こう考えられたら良いのにそう思えない」ことと一致しています。意思の力で何とかなることも大いにあると思います。しかし同時に、いかにうまくそれを活用できるようにするのか、そういった方法も知っていってよいのではないかと考えています。

 話を戻しますと、『境界線』の重要さについてでした。簡単に言うと、表皮の内側と外側、と言った分け方をしています。体の中で起こっていること、気分・思考・身体感覚、体の外で起こっていること、様々な事象・行動、などです。

 極論で言うと、自分の内でも気分と思考、身体といったものも分けていけると考えています。考えは考えに過ぎませんし、気分は気分に過ぎないので。こう書いてしまうととてもつまらなく割り切ったもののように感じるかもしれませんが、それらを分けること自体がなかなか難しいですし、分けた上でそれらのつながりも考えてみると楽しそうです。分かるようでありながら人間はとても不思議です。

 どのような思考記録表でも、いろいろなことを教えてくれるものです。

 さて、少し私が調子に乗って少し話してしまったようですが、何か質問はありますか。
 無いようでしたらまずはここまでにしましょう。Cさんは是非母親との線を引いた付き合いをするにあたっての具体的な計画も立てられると良いですね。

2006年10月25日 17:35:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ