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   <title>斎藤学（精神科医｜家族機能研究所代表）ブログ</title>
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   <updated>2011-05-02T01:59:46Z</updated>
   <subtitle>精神科医・斎藤学からのメッセージ
文責：斎藤学</subtitle>
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   <title>女性とアルコール依存症（38）家族への助言2</title>
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   <published>2011-05-02T01:58:47Z</published>
   <updated>2011-05-02T01:59:46Z</updated>
   
   <summary>(3)『孤立しないで家族会に出席して下さい』 千代美の母親は、本人への対応の仕方...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      (3)『孤立しないで家族会に出席して下さい』

千代美の母親は、本人への対応の仕方をある酒害者家族会で教えられた。
酒害者、特に女性の酒害者を抱えた家族は、ひどく恥ずかしい思いをさせられ、隣り近所とも孤立しがちになる。
そのことが一層、本人の飲酒問題に注意を向けさせることになり、注意したり、叱ったり、監視したり、要するに本人を子供扱いして問題をこじらせてしまうのである。

(4)『本人を子供扱いしたり、役割を奪ったりしないで下さい』

たとえ本人に飲酒の問題があるにせよ、一人前の女性から、母親の役割を奪ったり、妻の役割を奪ったりはできないはずである。
しかし得てしてこうしたことが起こり得るのだ。
      <![CDATA[===
なまじ健康で活力のある親がついていると、娘の酒害をみかねて、孫をひき取ったり、夫の世話をしたりしてしまう。
こうした行為は、ひとり立ちして歩くことによって成り立つ本人の回復を妨げるのみならず、本人にまた新たな喪失体験を強制することになって彼女を崖のふちに追い込むことになる。

(5)『本人の欠陥をあげつらうよりも、自分自身に注意を向け、自分を変えて行くように努めて下さい』

繰り返しになるが、たとえ家族であっても、本人になり変わって、本人の行動を修正することはできない。
家族にできるのは、家族自身の行動修正なのである。
自分が夫として、父として、母として本人に対していたその対しかたを点検し、必要なら本人の自立の助けになる方向に変えて行くことだ。

(6)『本人の振り回しに乗らないで下さい』

以上のことが実行できるようになると、本人のいちいちの言動に振り回されなくなる。
2〜3日飲まなかったといって大喜びしたり、また飲みだしたと絶望することもなくなる。そして本人の問題行動の根にある、家族への不信感、それを拭おうとするための試し行動の意味が理解できるようになってくる。

(7)『言ったことは必ず実行し、実行でぎないことは言わないようにして下さい』

酒害者に振り回されている家族では、言葉がひとり歩きして、表現は、エスカレートし、言葉の持つ本来の重味が消えている。
「もう絶対に飲まない」という酒害者自身の"嘘“は「今度飲んだら絶対に離婚だ」という家族の側の脅しの嘘に対応しているのである。
家族内で言葉が本来の力を取り戻している場合にこそ、治療者との間の精神療法も着実な進展を見せる。

(8)『入院治療に過度な期待を持ってはいけません』

アルコール依存症からの回復は、本人がひとりで歩きはじめるところがらはじまる。
したがって、入院治療は本質的に回復とは逆行したものなのである。

もちろん心身に及ぶ酒害が入院治療を必要としていることも多いが、それはあくまで身体治療と、保護・休養のためであって、心の回復という点からみれば"一時停止"なのである。
むしろ入院による依存性の亢進を警戒すべきであり、入院中の生活プログラムは、この点を考慮して本人の自主性と責任を強調したものでなければならない。

しかし理想的な治療プログラムを備えたところで、入院期間中に問題が解決するなどとは思わない方が良い。
まして、問題から逃避したい一心で、本人を病院に預けるという態度を家族が取れば、見捨てられることを恐れる本人を一層家族にしがみつかせることになり、収拾困難な混乱が長く続くことになるであろう。

繰り返すが、入院治療に一時停止以上のものを期待してはならない。回復は退院後の本人の歩みから開始するのである。

以上が筆者の助言であり、酒害者治療に関する枠組みである。

ここでは個々の酒害者と私というひとりの治療者のかかわりを中心に据え、断酒会、A・A(アルコホリクス・アノニマス)などの紹介や、保健所等の社会施設に触れることを敢えて避けている。
これらについての記述は、アルコール医療に関する他の成書にたびたび取り上げられていると思うので参照して頂きたい。
後日機会があれば、ここに述べた枠組みの中で、現実にどのような回復の展開があるかを紹介してみたいものである。

終わり

<table width="400" cellspacing="0" cellpadding="2"><tr><td class="gray">講座名</td><td class="gray">日程</td><td class="gray">時間</td><td class="gray">料金</td><td class="gray">対象</td><td class="gray">会場</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/saito_work/" target="_blank">斎藤学ワークショップ</a></td><td nowrap>8/6、7</td><td nowrap>16:00〜21:00<br />10:00〜18:00</td><td>31,500円</td><td>一般</td><td nowrap>東京<br />麻布</td></tr><tr><td><A HREF="http://www.iff.co.jp/event/saitoopn/index.html" target="_blank">斎藤学オープンカウンセリング</A></td><td>月<br />水</td><td>18:30〜20:30<br />11:00〜13:00</td><td nowrap>3,000円<br />or<br />5,000円</td><td nowrap>一般</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/pias3/index.html" target="_blank">サイトウ式逆説的介入アプローチ実践トレーニング</a></td><td>金</td><td>18:30〜20:30</td><td>5,000円</td><td>一般<br />専門</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/saitonetopn/index.html" target="_blank">斎藤学ネットグループカウンセリング</a></td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>6,300円/年<br />630円/月</td><td>一般</td><td>ネット上</td></tr></table><br/><br/>
<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="300"><tr><td colspan="3" class="gray">斎藤学のアルコール依存症関連書籍</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/025_h150.jpg" width="100" height="150" alt="アルコール依存症とは何か" class="noborder"/></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/020_h150.jpg" width="93" height="150" class="noborder" /></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/021_h15.jpg" alt="回復援助" width="101" height="150" class="noborder" /></a></td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank">アルコール依存症とは何か</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank">アルコール依存症に関する１２章</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank">アルコール依存症の回復援助</a></td></tr></table>


<img alt="female_alc.jpg" src="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/archives/female_alc.jpg" width="100" height="148" class="noborder"  style="float:right;" />※本原稿は1983年8月25日に（株）海鳴社より出版された「女性とアルコール依存症」（斎藤学著）からほぼ原文のままお届けしています。<br style="clear:both;">]]>
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   <title>女性とアルコール依存症（37）家族への助言1</title>
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   <published>2011-04-28T02:02:03Z</published>
   <updated>2011-04-28T02:03:36Z</updated>
   
   <summary>家族への助言 アルコール依存症は家族全体の病気である。酒害の発生そのものに家族内...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      <![CDATA[<h4>家族への助言</h4>

アルコール依存症は家族全体の病気である。酒害の発生そのものに家族内の力動が関与するのみならず、酒害者を抱えた家族は、様々な影響を受けざるを得ない。
本書ではこの面の検討に触れなかったが、その回復には以下の諸点で家族の協力がどうしても必要になる。

(1)『本人についての思い込みにしがみつかないで下さい』

飲んだくれの妻に悩む夫、甘ったれで酒にだらしない娘を持った父や母は、自分がいちばん酒害者本人について知っていると思い込み、他人の意見に耳を貸そうとしない。
実は家族の問題は家族メンバーにこそ最も見え難いということもあり得るのである。
案外、妻や娘の飲酒問題は"背中のホクロ"のように自分には見えないものの反映であることが多いのである。]]>
      ===
(2)『本人を監視せず、尻ぬぐいもしないで下さい』

妻や娘の飲酒行動を見張っていて、酒瓶を取り上げたり、外出を妨げたりする努力は無用である。
家族であろうとなかろうと、他人には本人の行動をコントロールする力がないのだから。飲む飲まないは本人に任せるしかないのである。

その代わり、本人のやったことは確実に本人に責任を取らせる。
それが酔っ払ってしたことであろうとなかろうと、やったことの始末はすべて自分でさせるのである。
早い話しが、玄関で酔いつぶれている娘を、抱き起こして寝床に運ぶことをしてはならない。
娘は、玄関で眼を醒まし、立ち上がるところがら始めなければならないのである。

このことは重要なので例をあげておこう。
私の患者の中によく似た症状を持ったふたりの若い女性患者がいた。仮に久美子と千代美としておく。
ふたりはK病院のアルコール病棟で一緒に治療を受けていたがある日共謀して無断離院してしまった。

その後迂余曲折を経て、結局ふたりともY市の警察に泥酔状態で保護され、留置場に入れられるのだが、警察の電話を受けた両家の対応が大分ちがっていた。
つまり、久美子の家からはすぐに迎えが出て、彼女は早々に自宅に引ぎ取られたのだが、千代美の母親は、かねがねこうした際の対応の仕方について聞かされていたので、「本人のやったことは本人に責任を取らせてください」と言って迎えに行く気配を見せなかった。

実際には千代美の母親も心配になって、その日の夜遅く迎えに行ったのだが、この数時間の差は予想外に多くのものを千代美に与えたようである。
彼女はこの時、自分に責任を取れるのが自分ひとりであることを身にしみて感じたという。
実際、千代美はこの日を契機に断酒し、自分の足を使って筆者との面接に通うようになった。
一方、久美子はその後二回、精神病院に入院し、現在二回目の入院中である。
   </content>
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   <title>女性とアルコール依存症（36）酒害者自身への助言4</title>
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   <published>2011-04-27T04:17:13Z</published>
   <updated>2011-04-27T04:21:40Z</updated>
   
   <summary>(8)『自分をゆるして、可愛がってあげなさい』 同じことは、彼女たちの自己評価に...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      (8)『自分をゆるして、可愛がってあげなさい』

同じことは、彼女たちの自己評価についても言える。
100点満点の女、妻、母を幻想し、それに達しない自分をみじめで、取るに足りないもののように感じる。自分の限界を直視しようとしない高望み、これが彼女たちをしらふで生きづらくして、酔いの中で、100点満点の自分を楽しむようにさせ、最後には絶望の淵にまで追いやったのだ。

しかし&quot;大したことのない&quot;平凡な&quot;自分を受け入れ、可愛がってあげられるようになるためには、そうした限界のある自分が他人にも受け入れられることが実感できなければならない。
      ===
彼女たちは&quot;可愛くなければ、抱っこしてあげない&quot;という厳しい他者(母親)の視線を取り込んで100点渇望を培ってきたのだから。
新たな他者(治療者)が、しらふの彼女たちの限界を受け入れ、その受け入れに彼女たちが信頼感を持つようになった時に、ようやく彼女たちは安心して&quot;限界のある自分&quot;をゆるすようになるであろう。

(9)『酔った時の自分に名前をつけなさい。そして、その人の良いところをしらふのあなたに取り込みなさい』

ある女性は酔った自分に「今日子」という名前をつけた。今日一日だけで生きている衝動的な人だから今日子だと言う。
今日子はわがままでだらしなくて甘えん坊で、とてもひとりでは生きて行けない人なのだが、人なつっこくて社交的で、誰もが憎めない人でもある。

一方、今日子に名前を与えた女性は、対人恐怖に悩み、自分の言動が他人に迷惑を及ぼすことを恐れて終日部屋にこもり切っている。
律気でオドオドしたこの女性は、もっと今日子を見習う必要がある。

グルーブ・ミーティングの場では、時々みんなに酔った時の自分になってもらう。
はじめのうち、しらふで酔うのは難しいが、決して不可能ではない。
みんなしてしらふで酔って、大声でふだんはとても言えないようなことを言い合って、またふだんの顔に戻ってミーティング・ルームを出て行く。
先に述べたとおり、&quot;真実&quot;はたまねぎの皮のように、何重にも層を成しているのだ。

(10)『精神療法は出会いと別れで成り立っています』

あらゆる人間関係と同様、精神療法にも出会いと別れがある。
別れは女性酒害者たちにとっても、私にとっても、やはり&quot;喪失&quot;にはちがいない。

ただ彼女たちが今まで経験してきた喪失とちがうのは、私がもともと別れねばならない&quot;限界あるもの&quot;として登場し、それにもかかわらず一定の情緒的体験を彼女たちと共有し得たことである。
この経験を大事にしてくれる限り別れた後にも彼女たちの心に恒常的な治療者イメージは残るはずだ。

事実、ミーティングに参加していた女性たちの多くは、治療終了後も、心の中で私との対話を続けてくれていると言うし、私もまた彼女たちと対話し続けている(この本自体がそうした対話の表現である)のだ。
少なくともこの別れは、今までの「見捨てられ体験」とは異質のものでなければならず、これがうまく行けば、彼女たちは見捨てられる不安を恐れて、他者との真のかかわりを避けようとする窮屈な生き方から解放されることになる。

残念ながら、すべてがこのようにうまく行くわけではない。
失敗は主に治療者が&quot;限界あるもの&quot;として登場することに失敗した場合に起こる。
精神発達の障害が深い場合には、そもそも、治療者(救済者)であることと、限界を持つ者であることとが、対立概念としてとらえられてしまうのである。

こうなると治療者は万能者とみなされ、それこそスーパーマンのように、夜ごと日ごとの悩みのたびに助けの叫びを浴びせられることになる。
こうした状況の中での治療者-患者関係の破綻は、患者にとって幻滅の苦痛にみちたもうひとつの喪失体験にならざるを得ない。

治療者が治療時間を決め、治療の期間を設定し、その枠を守ることは&quot;限界ある者&quot;としての自分を示すための必須の作業なのである。
   </content>
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   <title>女性とアルコール依存症（35）酒害者自身への助言3</title>
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   <published>2011-04-26T02:45:41Z</published>
   <updated>2011-04-26T02:47:10Z</updated>
   
   <summary>(5)『あなたにとってお酒の問題は赤信号に過ぎないのです』 問題は、彼女たちが絶...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      (5)『あなたにとってお酒の問題は赤信号に過ぎないのです』

問題は、彼女たちが絶望し、生を投げだしそうになっているところにある。
飲酒問題はその他の自己破壊行動と並んで、このことを示す赤信号なのだ。
言い変えれば不器用な彼女らがなんとか絞り出した助けを呼ぶ声なのだから、治療者としては&quot;聞こえた、了解した&quot;ということが示せれば(彼女たちが納得するようにそれを示すのはなかなか難しいが)それで飲酒問題はなくなる。
      <![CDATA[===
難しいのはその後であって、相変わらず厳しい状況の中で、酔いという防衛も禁じられて立ちすくんでいる彼女たちに、どうやって他者とかかわる力(つまり生きる力)を取り戻させるかだ。
これに失敗すると、彼女たちはたちまち元の飲酒行動に逃げ込むことで自分の身を守ろうとする。

(6)『あなたには、自分を癒すエネルギーが備わっているではありませんか』

「とにかくあなたは、私の前まで来られるじゃありませんか」と言う。
「それはあなたの内部に何とかしょうとして蠢（うごめ）いている力があるからですし、まだまだ使える足がついてるからです」とも言う。
治療者に向かう情動の動き、足の運びを一貫して評価し、伸ばすのである。

"足"はまだ充分に残っている彼女の健康な部分の象徴であり、それを使って歩く方向は、他者とのかかわりに向いていなければならないが、彼女の歩みは彼女のものであって、誰も代わってあげることはできない。助けてあげることも有害である。

(7)『60点で合格です。100点を求めようとしないこと』

100点でなければ0点、真っ白でなければ真っ黒という世界の中で彼女たちは生きてきた。
彼女たちに50点や灰色の存在を実感させるのはなかなか難しいがそれができないと、治療者との関係が維持できなくなってしまう。

はじめ治療者は彼女の心の中に力強く、情深い、100点満点のスーパーマンとして登場しがちだから、ただの人であることが視えてくると、一挙に0点で真っ黒になってしまうからである。
多少しみの目立つ、灰色の人であっても、自分にとって60点の“ほぼ良い"治療者であればつながりを保ち続けるという柔軟性を育てられれば、彼女と他者との関係は随分と楽なものになるはずだ。

<table width="400" cellspacing="0" cellpadding="2"><tr><td class="gray">講座名</td><td class="gray">日程</td><td class="gray">時間</td><td class="gray">料金</td><td class="gray">対象</td><td class="gray">会場</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/saito_work/" target="_blank">斎藤学ワークショップ</a></td><td nowrap>8/6、7</td><td nowrap>16:00〜21:00<br />10:00〜18:00</td><td>31,500円</td><td>一般</td><td nowrap>東京<br />麻布</td></tr><tr><td><A HREF="http://www.iff.co.jp/event/saitoopn/index.html" target="_blank">斎藤学オープンカウンセリング</A></td><td>月<br />水</td><td>18:30〜20:30<br />11:00〜13:00</td><td nowrap>3,000円<br />or<br />5,000円</td><td nowrap>一般</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/pias3/index.html" target="_blank">サイトウ式逆説的介入アプローチ実践トレーニング</a></td><td>金</td><td>18:30〜20:30</td><td>5,000円</td><td>一般<br />専門</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/saitonetopn/index.html" target="_blank">斎藤学ネットグループカウンセリング</a></td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>6,300円/年<br />630円/月</td><td>一般</td><td>ネット上</td></tr></table><br/><br/>
<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="300"><tr><td colspan="3" class="gray">斎藤学のアルコール依存症関連書籍</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/025_h150.jpg" width="100" height="150" alt="アルコール依存症とは何か" class="noborder"/></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/020_h150.jpg" width="93" height="150" class="noborder" /></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/021_h15.jpg" alt="回復援助" width="101" height="150" class="noborder" /></a></td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank">アルコール依存症とは何か</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank">アルコール依存症に関する１２章</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank">アルコール依存症の回復援助</a></td></tr></table>


<img alt="female_alc.jpg" src="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/archives/female_alc.jpg" width="100" height="148" class="noborder"  style="float:right;" />※本原稿は1983年8月25日に（株）海鳴社より出版された「女性とアルコール依存症」（斎藤学著）からほぼ原文のままお届けしています。<br style="clear:both;">]]>
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   <title>女性とアルコール依存症（34）ミーティングへの参加、ノートへの記録</title>
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   <published>2011-04-25T02:50:28Z</published>
   <updated>2011-04-25T02:51:43Z</updated>
   
   <summary>(3)『あなたの経験を皆さんに話してみてください。他の人の経験をきいて、自分のも...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      (3)『あなたの経験を皆さんに話してみてください。他の人の経験をきいて、自分のものと較べてみてください』

1週に最低一回はグルーブ・ミーティングに参加してもらう。
私の治療グルーブの定員は10名である。ミーティングに遅れないよう、欠席しないようにすること(&quot;足をつくる&quot;という)と、120分のミーティング中静かに座って他人の話に耳を傾けるようにすること(&quot;耳をつくる&quot;という)が、私との治療的接触に不可欠な要素ということになる。
      ===
ミーティングでは、過去1週間の飲酒行動や「潜在飲酒行動」(飲みたい渇望が異常に高まった経験)とそれに関連した心の動きが淡々と語られる。
この際、他人に対しても自分に対しても&quot;本当のことを言う&quot;ことが求められるのであり&quot;飲まない&quot;ということが求められているのではない。

グルーブに参加して間もない人はこのことがなかなか理解できないのだが、私への信頼(私が結果を求めているのではなく、彼女との情緒的接触を求めているのだという信頼)が増すにつれて嘘をつく必要が薄れてくる。
そして&quot;真実&quot;というものが、たまねぎのように何層にも分かれた構造をしていることに気づきはじめる。

こうした過程は、先にグループに参加している人の作業が、後からの人の作業を促進するといった性質のものである。

(4)『あなたが食べたもの、飲んだもの、会った人を毎日ノートに書き出してごらんなさい』

なかなか断酒できないでいる人、摂食行動異常(過食・拒食・嘔吐習慣)を伴う人、断酒後対人恐怖のひどい人には右のような指示を与える。
大学ノートの左端に、飲酒、摂食などの&quot;行動&quot;を、午前、午後、夕方に三区分して書き、余白にその時の情動体験、今それを書いている時に思い浮かぶことを書かせる。

ノートを書くように指示した人については、必ず別にノートを読むための面接時間を設け、何が書けて、何が書けなかったかを私とふたりで検討する。
ここまで来ると、もはや飲酒は単なる日常行動ではなくなる。たまに生じた飲酒&quot;事件&quot;は、その人に取って&quot;酔い&quot;がどのような意味と役割を持っていたのかを検討するための貴重な素材となってくる。
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   <title>女性とアルコール依存症（33）第六章　回復への助言</title>
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   <published>2011-04-22T07:06:23Z</published>
   <updated>2011-04-22T07:07:01Z</updated>
   
   <summary>人生に敗北を感じ、他人とのかかわりに絶望した人は、酒によって生まれかわった自分と...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      人生に敗北を感じ、他人とのかかわりに絶望した人は、酒によって生まれかわった自分との間で、愛し合い、もたれ合い、憎しみ合いのひとりずもうを演じる。
このひとりずもうがアルコール依存症に他ならない。

この演技が続く間だけ、酒は生き残りの唯一の手段となり得るのである。皮肉なことに「酒は百薬の長」なる諺の本当の意味を知っているのはアルコール依存症者だけなのである。
酔った自分を相手に演じる愛憎のひとり芝居のうちに、その人の人生ドラマは集約されてくるから、こうした状態の人とかかわる立場の人間は、彼や彼女の生き残りドラマの全編に立ち合わざるを得ないわけである。
      <![CDATA[===
筆者もまた、ここ十余年間、英子、愛子、菊江、静江、紀子たちが必死に演じるドラマにつき合って過ごしてきた。
このうち菊江は入院中であるが、英子、愛子、静江、紀子は他人(この中には当然筆者も含まれている)との関係を回復して、それなりに喜んだり、悲しんだり、悩んだりしながら生きている。

この本を読まれるかたがたの中には回復への道を模索している人も多かろうと思うので、私なりに重要と思われる諸点をあげておくことにしたい。


<h4>酒害者自身への助言</h4>

私は英子たちに以下のようなことを助言してきた。

(1)『本当に酒を止めたいのかどうか、もう一度考え直してみたら』

断酒への動機づけがしっかりしたという時点でアルコール依存症の治療の70%は済んでしまっていると筆者は思っている。
だから当面の私(治療者)の仕事は患者に「どん底」を体験させることだ。

未だそれを感じていないのなら、私の出番ではない。出番がくればいつでも登場する用意があることだけを伝えて、彼女のドラマに立ち合うことは避け、アルコール依存症についての一般的な説明をするに止めることにしている。
そしてその間、後述するような家族(周囲の人)への助言をつづけて行く。
彼女が「もう駄目だ」と思っていて、私に何かを期待してくれるのなら次のように言う。

(2)『週にN回私と会いましょう』

Nには、その人の状況によって1から5までの数が入る。
彼女は、自分の足と電車賃と時間をつかって、私の指定する曜日と時刻に、私の前にたどりつかなければならない。

「約束は破らないようにしてください。待ち合わせの時間にあなたが来ないと、私は裏切られたような淋しい気分になってしまいます」と言う。
酒は止められていなくても構わないが、欠席や遅刻は必ず取り上げ、それがなぜ生じたかを問題にする。
もし面接回数が、その人の能力(私という他人にかかわることに割けるエネルギー)より多すぎるようなら減らし、彼女が約束を守れる限界を彼女自身にわからせるようにする。

飲酒してしまうために来られないという人には面接日の前数日間、抗酒剤を使うように勧める。
ここでも、自分の“意志”に全幅の信頼を置こうとする人に、その限界をわからせる作業が必要になる。（続く…）]]>
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   <title>女性とアルコール依存症（32）業績中心社会における主婦の座</title>
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   <published>2011-04-20T07:34:51Z</published>
   <updated>2011-04-20T07:35:33Z</updated>
   
   <summary>《業績中心社会における主婦の座》 女性のアルコール消費の伸びを支えているのは、主...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      《業績中心社会における主婦の座》

女性のアルコール消費の伸びを支えているのは、主として二十代、三十代の若い世代であり、この年齢層についてだけみれば、既に飲酒人口の男女比は一対一に近づいている。彼女たちはもっぱら職場で飲酒習慣を身につけ、やがて主婦となって行くわけである。

ところで職場というものは元来、生産性(業績)が唯一の価値基準であるような、ある意味で単純素朴な世界であり、そこでは微妙な人間的配慮が不当に低く評価されてしまうものである。
そしてこの分野は伝統的な性の役割分担から言うと男性の担当ということになっていたため、男に都合のよいような価値の体系が張りめぐらされてしまっている。
      ===
現代の若い女性たちのほとんどすべては否応なく、いったんこうした職場の生活に入り、その中で自分の性に失望するという体験を持つことになる。
伝統的な社会では、&quot;男一匹&quot;を気取る男たちの社会と一対になった、女たちの価値基準の体系があって、そこに&quot;妻&quot;や&quot;母&quot;の役割が用意されていた。つまり、男は男なりに、女は女なりに自分らしく生きる道が用意されていたのであるが、こうした区分が(たてまえ上)否定され、男の価値基準に一本化されてしまった現在の社会では、女性は必ずいったん自分の性に落胆せざるを得ないのである。

業績中心の社会に見切りをつけて「どうせ私は女よ」と言える人はともかく、なまじこれに適応して社会的業績に関心を持ちだすようになると、主婦役割との折り合いが悪くなる。
というのも、中途はんばに性区分が否定されている我々の社会の中で、主婦の役割は、かつての堂々たる権威を失ったまま、無能な女のたまり場のように思われ始めているからである。

こうして、現在ではかなりの割合の主婦が自分の社会的自己実現を結婚(つまり夫の出現)によってはばまれたと感じており、夫に対して漠然とした被害者意識と攻撃感情を抱くにいたっている。
とはいえこれらの感情はほとんどの場合素直な表現を抑えられており、本人自身にも気づかれていない。なぜなら彼女たちにとって既に結婚そのものが社会的業績なのであり、だからこそ職場での成功を断念したのであり、今更これを捨てるわけにもいかないからである。

そのかわり、女性たちは主婦としても&quot;業績&quot;の追求に熱心になる。
業績はいつも他者から評価されていなければならない。さしあたって子供たちが、業績追求の道具とされやすく、これを周囲の評価に耐え得るようにしょうとするところから&quot;教育ママ&quot;的態度が生じ、道具として用いられた子供たちの反乱が登校拒否や家庭内暴力の形で表現されることになる。

一方、主婦としての業績追求の対象も見あたらず、夫への否定的感情を持て余している人々は、そうした感情を抑えこんでいるうちに喜怒哀楽の表出ができなくなり、無感動と空虚感の中に閉じこめられる。
そして時に、抑圧された夫への憎悪は鋭い不安感や抑うつ感として突出したり、身体的症状に転換して表現されたり、対象を変えて爆発したりして当人や周囲を混乱させるものである。

最近、自分の子供を必要以上に折檻して、くり返し怪我を負わせてしまう母親が増えてきており、こうした幼児虐待への対処が精神科医の関心を惹きつつある。

少々戯画化が過ぎたかも知れないが、以上に述べたような主婦像に近いものを、現代の主婦は多少にかかわらず持っているのではなかろうか。
そうした主婦たちのうちの一部は飲酒によって危機を脱することを試み、多くは成功し、ある者は失敗してキッチン・ドリンカーに至ると言うわけである。
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   <title>女性とアルコール依存症（31）なぜ今、主婦の飲酒が注目されるのか</title>
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   <published>2011-04-19T02:08:29Z</published>
   <updated>2011-04-19T02:10:24Z</updated>
   
   <summary>《なぜ今、主婦の飲酒が注目されるのか》 キッチン・ドリンカーの主体は主婦であるが...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      《なぜ今、主婦の飲酒が注目されるのか》

キッチン・ドリンカーの主体は主婦であるが、その割合は女性症例全体の五割ていど(調査対象によってかなり異なる)ほどのものである。
主婦のアルコール乱用は表面に出にくいから実際の割合はもう少し高いかも知れないが、いずれにせよキッチン・ドリンカーは女性症例の一部に過ぎないのである。

それなのになぜ主婦の飲酒問題がとりわけ注目されるのかということになるのだが、理由のひとつとして&quot;意外性&quot;ということが考えられるであろう。
      <![CDATA[===
酒飲みの夫に悩まされる妻の図は見慣れていても、「飲みすぎる女房」の姿には我々日本人は未だなじみが薄いのである。
夫も子供も失った不幸な老婦人や、反社会的な生活を送る一部の女性が酔いつぶれるというのであればまだわかるが、やさしい夫と健康な子供に恵まれたごくふつうの主婦がなぜそれほど飲むのか。そこに意外性があるのであろう。

理由のもうひとつは、それが現代の主婦に多かれ少なかれ共通した悩みの端的な表現と考られるということではなかろうか。
彼女らはたまたま飲める体質を持ち、飲酒に逃避できたからアルコール依存になった。そのかげには逃避さえできずに悩みつづけている無数の主婦がいるのではないか、というわけである。

第一の理由について言うと、この"意外性"は誤解にもとづいており、実は主婦こそ最もアルコール乱用を生じやすい立場にいる人々なのである。
女性としての心理的な成熟を欠いた人々であっても、独身で通していれば特に問題も起きないかも知れないが、結婚生活はこうした隠れた障害に照明をあててしまいがちなのである。
同様のことは男性についても言えるわけだが、多くの場合彼らには職場があり、そこで過剰適応的に振舞って社会的な男らしさを周囲に認めさせるという防衛の手段が残されている。いわゆるワーカホリック(仕事嗜癖)がこれである。

主婦の場合でも、大家族における嫁という役割が課されていれぼ、その中で過剰適応し、“髪ふり乱して働く、しっかりものの嫁"を演じることもできよう。
しかしせいぜいひとりかふたりの子供がいるだけの核家族ということになるとそうは行かない。
出産や育児に多忙な一時期、つまり生物学的な意味で"母”である時期を除けば「自分は一体何なのか」という疑問に捉われやすい立場に主婦はおり、その際夫との関係を通して自分の女性性の問い直しに直面することになりやすいのである。

結婚初期、子育てを終えた時期、夫が退職した時期(つまり夫の社会的同一性に重大な変化が起こる時)の三つが、主婦の生活史上の三大危機であるとよく言われるが、これらはいずれも女性に自己の性を見つめなおさせる時期に他ならない。
その際、性同一性に障害を持つ人々の最も手軽な防衛方法が飲酒、酩酊なのである。

現在、主婦の飲酒問題が珍しがられているのは、これまでの飲酒文化(特に我が国のそれ)が女性の酒に禁圧的であった結果にすぎない。
飲酒が女性に解放され、酒造会社が女性消費者の増加をむやみに煽りたてている現状では、早晩、事態は深刻化しようが、同時にこれを特殊視することもなくなって、"世間によくある困った問題"のひとつと受け取られるようになってしまうであろう。

<table width="400" cellspacing="0" cellpadding="2"><tr><td class="gray">講座名</td><td class="gray">日程</td><td class="gray">時間</td><td class="gray">料金</td><td class="gray">対象</td><td class="gray">会場</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/saito_work/" target="_blank">斎藤学ワークショップ</a></td><td nowrap>8/6、7</td><td nowrap>16:00〜21:00<br />10:00〜18:00</td><td>31,500円</td><td>一般</td><td nowrap>東京<br />麻布</td></tr><tr><td><A HREF="http://www.iff.co.jp/event/saitoopn/index.html" target="_blank">斎藤学オープンカウンセリング</A></td><td>月<br />水</td><td>18:30〜20:30<br />11:00〜13:00</td><td nowrap>3,000円<br />or<br />5,000円</td><td nowrap>一般</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/pias3/index.html" target="_blank">サイトウ式逆説的介入アプローチ実践トレーニング</a></td><td>金</td><td>18:30〜20:30</td><td>5,000円</td><td>一般<br />専門</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/saitonetopn/index.html" target="_blank">斎藤学ネットグループカウンセリング</a></td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>6,300円/年<br />630円/月</td><td>一般</td><td>ネット上</td></tr></table><br/><br/>
<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="300"><tr><td colspan="3" class="gray">斎藤学のアルコール依存症関連書籍</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/025_h150.jpg" width="100" height="150" alt="アルコール依存症とは何か" class="noborder"/></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/020_h150.jpg" width="93" height="150" class="noborder" /></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/021_h15.jpg" alt="回復援助" width="101" height="150" class="noborder" /></a></td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank">アルコール依存症とは何か</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank">アルコール依存症に関する１２章</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank">アルコール依存症の回復援助</a></td></tr></table>


<img alt="female_alc.jpg" src="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/archives/female_alc.jpg" width="100" height="148" class="noborder"  style="float:right;" />※本原稿は1983年8月25日に（株）海鳴社より出版された「女性とアルコール依存症」（斎藤学著）からほぼ原文のままお届けしています。<br style="clear:both;">]]>
   </content>
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   <title>女性とアルコール依存症（30）ボケ老人型、主婦の目標喪失と飲酒《症例　紀子》3</title>
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   <published>2011-04-18T02:01:59Z</published>
   <updated>2011-04-18T02:02:38Z</updated>
   
   <summary>和夫は妻の問題飲酒をしばらく気づかずにいた。 彼女が飲んでいるところなどみたこと...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      和夫は妻の問題飲酒をしばらく気づかずにいた。
彼女が飲んでいるところなどみたこともなかったので、帰宅するたびにだるがって横になっている妻をみても、酔っているとは夢にも思わなかった。

しかし、それまで活動的だった妻の口数が減り、投げやりで怒りっぽくなり、食欲も無くしてやせてくるという事態になっては妻の異常に気づかざるを得ない。
      ===
会社を休み、いやがる妻を説得して友人のいる都内の大学病院内科へ連れて行った。
二回目の外来の時、肝炎という病名を告げられ、「奥さんは飲みすぎだから、少し節制させるように」と医師に言われて、和夫が仰天したことは言うまでもない。

その晩、夫ははじめて妻の理由のない空虚感と不安、居たたまれぬほどの焦燥感についてきかされた。
飲むと直るのだが、じきにイライラが再開して、また飲みだし、ついには酔いつぶれてしまうのだと彼女は言った。

この夜、遅くまで夫と話し合っているうちに、紀子の気分は次第に明るくなり、ついにはすべてが解決したように思った。
「何て馬鹿なことをしてたんだろう。早くこの人に言えば良かったんだわ」と彼女は思い、「もう大丈夫」と何度もくり返して夫に言った。

しかし事態はそれほど甘くなかった。確かに一週間ほどは飲まずに過ぎたが、やがて再び酔った状態で夫を迎える日が多くなった。
叱られると数日止めるがまた飲みだす。なまじがまんした分だけ飲み方がすさまじくなり、朝方から終日飲みつづけて家事をまったく放棄する日が目立つようになった。

息子は寄りつかなくなり、優しい一方だった夫が激怒して手を上げることも稀でなくなった。
「これが最後だ。今度またこんな飲みかたをするようなら、離婚してくれ」と言われて一ヵ月近く断酒したあと、またもや飲みだしてとうとう筆者の外来を訪れることになってしまったと言うわけである。
   </content>
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   <title>女性とアルコール依存症（29）ボケ老人型、主婦の目標喪失と飲酒《症例　紀子》2</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/archives/2011/04/292.html" />
   <id>tag:iff.s116.coreserver.jp,2011:/saito//2.1151</id>
   
   <published>2011-04-13T06:47:09Z</published>
   <updated>2011-04-13T06:48:30Z</updated>
   
   <summary>面接が進むにつれて、紀子が息子の中学受験に特別な意味を認めていたことがはっきりし...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/">
      面接が進むにつれて、紀子が息子の中学受験に特別な意味を認めていたことがはっきりしてきた。
「夫の実家のてまえ、息子にはどうしてもあの学校へ入ってもらいたかったのです」と彼女は言った。

紀子はある地方都市の商家の出であるが、高校生の時酒豪だった父に急死された。
彼女は長女だったから、途方にくれる母親を助けて、幼い弟妹の面倒をみるという立場に立たされたわけだが、もともと活動的で自信家の彼女はそうした状況に我慢できず、高校を出るとすぐ、母たちを置いて強引に上京してしまった。
たまたま叔母が下町でスナックを経営していたところへ転がりこんだのである。
      <![CDATA[===
そこで働きながら某劇団の研究生になったが、同期の人々の中では早くから注目され、プロの女優としても何とかめどがつきそうなところところまで頑張った。
そんな時に、スナックの客であった現在の夫見そめられ、相当悩んだり迷ったりしたあげく友人たちの反対を押し切って主婦の座を選んだのである。

夫は中規模ではあるがかなり名の知れた企業の経営者の息子で、いわば、女優の卵が社長の卵と一緒になったような形であるが、夫の実家側には、この結婚に反対する声がかなりあって彼女を苦しませたようである。
それに、結婚してみると同族経営の企業の中での夫の立場は大したものではないどころか、同族社員の中でのミソッカスに近いことがはっきりしてきた。

夫は某私大の出身であるが、東大出の3人の兄弟たちから何かと低くみられているようであり、姑にいたっては「あの子は能なしだから・・・」と彼女の前ではっきり口に出したりした。

和夫自身はこうした自分の立場を大して気にとめておらず、馬鹿にされても平気な顔をしている。それが負けん気の強い紀子には歯痒く口惜しくてならなかった。
夫の兄弟たちの嫁どうしの競合関係もまた熾烈を極めていたが、その中での紀子の立場も決して有利ではなかった。

他の嫁たちと違って実家からの援護は期待できないし、アルバイトとは言えスナックで働いていたところを見そめられたという結ばれかた自体が、他の嫁たちの冷たい視線にさらされていたようである。

なまじ女優として何とかやれそうだったという自信があるだけに、こうした立場を不満に感じたり、馬鹿らしく思ったりすることもないではなかったが、結婚そのものは自分自身の選択だったから誰を非難するわけにもいかなかった。
勝気な彼女は、むしろこうした感情を一切無視して「幸福な主婦」の役割に没頭することにした。
差しあたって出産と育児が彼女を充実させた。

かつてのライバルたちが、舞台やテレビで活躍しているのを見聞きするたびにいたたまれぬほどの焦燥感に襲われるのだが、当面、息子をいとこたちに負けぬように育てて姑や義姉妹たちの鼻を明かすという目標があったから、余計なことを考えずに済んでいた。

いとこたちは前後して都内の有名中学を受験したが、成功したのは和夫・紀子夫婦のひとり息子だけだったから、紀子は一応目論見どおり競争に勝ったわけである。
ところが、鼻を明かすべき最大の相手であるはずの姑が合格発表の直前に床に就き、意識不明のまま他界してしまったのである。
彼女はこの時肩すかしを食わされたような、何とも物足りない気分を味わわされたと言う。

それまで彼女に「仮の目標」を与えていた何かが、ガラガラと崩れてしまい、空漠とした日常生活の中に、鋭い不安感がおりこまれるようになったのはそれからのことである。

<table width="400" cellspacing="0" cellpadding="2"><tr><td class="gray">講座名</td><td class="gray">日程</td><td class="gray">時間</td><td class="gray">料金</td><td class="gray">対象</td><td class="gray">会場</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/saito_work/" target="_blank">斎藤学ワークショップ</a></td><td nowrap>4/9、10</td><td nowrap>16:00〜21:00<br />10:00〜18:00</td><td>31,500円</td><td>一般</td><td nowrap>東京<br />麻布</td></tr><tr><td><A HREF="http://www.iff.co.jp/event/saitoopn/index.html" target="_blank">斎藤学オープンカウンセリング</A></td><td>月<br />水</td><td>18:30〜20:30<br />11:00〜13:00</td><td nowrap>3,000円<br />or<br />5,000円</td><td nowrap>一般</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/pias3/index.html" target="_blank">サイトウ式逆説的介入アプローチ実践トレーニング</a></td><td>金</td><td>18:30〜20:30</td><td>5,000円</td><td>一般<br />専門</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/saitonetopn/index.html" target="_blank">斎藤学ネットグループカウンセリング</a></td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>6,300円/年<br />630円/月</td><td>一般</td><td>ネット上</td></tr></table><br/><br/>
<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="300"><tr><td colspan="3" class="gray">斎藤学のアルコール依存症関連書籍</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/025_h150.jpg" width="100" height="150" alt="アルコール依存症とは何か" class="noborder"/></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/020_h150.jpg" width="93" height="150" class="noborder" /></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/021_h15.jpg" alt="回復援助" width="101" height="150" class="noborder" /></a></td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank">アルコール依存症とは何か</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank">アルコール依存症に関する１２章</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank">アルコール依存症の回復援助</a></td></tr></table>


<img alt="female_alc.jpg" src="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/archives/female_alc.jpg" width="100" height="148" class="noborder"  style="float:right;" />※本原稿は1983年8月25日に（株）海鳴社より出版された「女性とアルコール依存症」（斎藤学著）からほぼ原文のままお届けしています。<br style="clear:both;">]]>
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   <title>女性とアルコール依存症（28）ボケ老人型、主婦の目標喪失と飲酒《症例　紀子》</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/archives/2011/04/28.html" />
   <id>tag:iff.s116.coreserver.jp,2011:/saito//2.1148</id>
   
   <published>2011-04-12T02:45:05Z</published>
   <updated>2011-04-12T02:46:15Z</updated>
   
   <summary>《ボケ老人型》 記憶力や見当識に障害をきたすようになった老女が、急に病的な大量飲...</summary>
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         <category term="女性とアルコール依存症" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      《ボケ老人型》

記憶力や見当識に障害をきたすようになった老女が、急に病的な大量飲酒をするようになったケース。
今回の調査対象中の2例は、いずれも水商売歴のある人で、その点では一次型アルコール依存症とすべきかも知れないが、ボケの出現さえなければ「酒好きのおばあちゃん」で済んでいたはずの、ごくまっとうな飲みかたが続いていたのである。

飲酒習慣を持った女性たちが急増しているところをみると、これからはこの手の老婦人の酒害者とたびたび出会わなければならなくなるかもしれない。
      <![CDATA[<h4>主婦の目標喪失と飲酒</h4>

前項では、主婦たちの飲酒の引き金になる種々の喪失体験や不安を取り上げたわけであるが、その中で最もわかり難いと思われる「目標喪失型」の主婦の飲酒を、もう少し詳しくみてみよう。
多分そこから現代の主婦が置かれている様々な問題が読み取れるはずである。

《症例　紀子》

「そろそろ夕食の仕度をはじめようかという頃になると、決まって物淋しいような、虚しいような気分になるのです」と紀子は訴えた。
「それでいて妙にソワソワ、イライラするんです。気を取り直して台所に立ってみても何も手につかない。すべてを放りだして家を出たいと思うこともあるのですが、もうすぐ息子や夫が帰ってくると思うとそうも行かないし……。
そういう時お酒を飲むと、堅い結び目がほどけていくように徐々に緊張がほぐれて、ようやく動けるようになるのです」。

紀子は40代はじめの主婦である。都心の会社につとめる夫の和夫、中学2年生になるひとり息子の3人でY市の住宅街に住んでいる。
筆者のアルコール外来を受診する直接のきっかけになったのは、その前の週に5日間つづいた連続飲酒で、この時は酔いが醒めるのをおそれるかのように朝からチビリ、チビリと飲みつづけ、終日寝暮らして、まとまったことは何ひとつできなかった。
それまで妻の飲酒問題について精神科医と相談したいと思いながらもためらっていた和夫だったが、この時ばかりは意を決して妻を説得し、どうやら動けるようになるのを待って外来へ連れてぎたのである。

紀子によると、問題飲酒が始まったのは2年前、息子が都内の某名門私立校の中等部に進学してからであると言う。
この学校は東大をはじめとする一流大学への進学率の高さで知られたところである。息子が小学生の間、紀子の関心はもっぱらひとり息子の中学受験に向けられており、おまけにPTAの役員としても忙しい日々を送っていた。

「そんなわけで、息子が小学校にいる間、私には酒を飲むゆとりも無かったのです」と紀子は言う。
それでは、急に暇ができたのがいけなかったのだろうか。息子が進学して心にゆとりを生じたお母さんたちなら、巷に盗れているであろうに。なぜ紀子だけがおかしな飲みかたをするようになったのだろう。（明日に続く…）]]>
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   <title>女性とアルコール依存症（27）空の巣型《症例　静江》</title>
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   <published>2011-04-08T06:22:35Z</published>
   <updated>2011-04-08T06:23:31Z</updated>
   
   <summary>《症例　静江》 43歳。山形県生まれで入院当時は神奈川県下のY市に居住。 同胞9...</summary>
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      《症例　静江》

43歳。山形県生まれで入院当時は神奈川県下のY市に居住。
同胞9人の第4子。次女であるが、弟妹はすべて異父同胞である。
大工職であった実父は酒豪で酒乱の気があり、博打の借金を残して静江の出生前に出奔してしまった。

数年して、実母は役場勤務の中年男と再婚したので、以後この養父に育てられることになるのだが、この父もまた酒乱で、少女時代の静江は酔った養父からいたずらされるという悲惨な経験をしている。
      ===
子供時代は、ゆうずうのきかない馬鹿正直な子と言われていたが、特に問題行動はなかったらしい。
中卒後、実家の家事手伝いをしていた19歳時に、勧める人があって見合いをした。
相手は神奈川県下の土建会社に勤める7歳年長の青年で、仕事にも慣れそろそろ独立しようかというので、郷里の親戚に適当な結婚相手の物色を頼んできたのである。

養父との仲がこじれ、弟妹たちの世話で自分の時間が持てなかった静江は、早く家を出ようとしていたところだったから、この話と飛びつき、数ヵ月後には結婚して神奈川県のO市に住むようになった。

夫はかねてからの予定どおり、結婚をきっかけに独立し、小さいながらも自分の会社を経営するようになった。戦後の復興期で土建業の景気も良かったのである。

夫は無口で、働きもの、仕事の後の酒だけが楽しみという人だった。
そして酔うと大言壮語して人が変わったように態度が荒々しくなる。
静江もあまり会話のない家庭で育ったので、夫の無口には抵抗を感じなかったが、話しにきく実父、そして養父の酒乱を知っていただけに酔った夫の態度の変化には敏感で、オドオドしてしまい、夫の怒りを買うことが多くなった。

特に死ぬ前数年間の夫は、事業の行ぎづまりのせいか極度にイライラしており、静江を「ゆうずうがきかない」と言って叱りとばし、時には手をあげるようにもなっていた。
それでも今にして思えば、息子ふたりの出産、育児に追われ、夫は仕事に飛びまわるという、この10年間が静江にとって黄金時代だったのだろう。

暗転は急激にやってきた。静江30歳、下の息子が8歳という時、夫は出張先の現場事務所で深酒して寝こみ火事を出し、焼死してしまうのである。
残務整理、火災の補償など、山積した仕事を、静江はどこからどう手をつけてよいかもわからぬまま、とにかくやり遂げた。
しかし、一段落ついてみると、10年の間、夫と築き上げてきたと思っていたものが幻であったと気づかされた。整理し切れなかった借金を除けば、家も土地も何も残らなかった。

小学生の男の子ふたりを抱えて、それでも静江はよく頑張った。
郷里には帰る気にもならなかったので、隣のC市に移り、駅弁売りの会社に勤めて、調理場のした働きをして家計を支えた。
相当苦しい毎日だったが、酒を飲もうなどとは考えたこともなかた。当時の静江にとって、酒は自分の人生に立ちはだかる恐ろしい敵に他ならなかったのである。

こうして5年が過ぎた頃、次の大波が35歳の静江を襲った。乳癌である。
調理場の同僚たちの協力もあって、何とか手術、入院を終えて自分のアパートに戻った時、彼女はつくづく疲れたと思った。

髪ふり乱して働きづめの数年間の後、急にやってぎた弛緩の毎日の中で、静江の胸にポッカリと隙間があいた。
定められた自宅静養の期間中、食欲が出なかった。頑張らなければと思うのだが、鏡に写る自分の顔は骸骨そのものだった。
「肥らなければ、せめてあと6年、下の子が高校を出るまで頑張らなければ」と静江は思った。
新聞広告で見たことのある養命酒を買ってきて、毎食前、顔をしかめながら飲みくだした。
これが静江の初飲体験である。
この危機を乗り切ったことについてはやばりこの酒の効用を考えるべぎであろう。少なくとも彼女はそう信じていて、せっせとこれを飲み続けた。

その3年後、次男の高校進学に際して、静江は駅弁売りの会社を離れ、もっと収入の良い仲居の仕事についた。
生まれつき引っ込み思案で無口の彼女には、どうみても不似合な仕事だったのだが、他に収入を増やす方法がなかったのである。

当然、仕事上の緊張は極度に高まる。
夜更にアパートへ帰ると、口もきけないほど疲れているくせに、寝つけない。
このあたりから、養命酒が清酒に引き継がれて行く。

やがて、酔って寝つけるようになるまでには2、3合の酒が要るようになった。
乳癌の手術のあと「せめてあと6年」と思ったその6年は、こうして何とか乗り切ることができた。
この頃になってようやく、静江は男たちがなぜあんなに酒を飲み、醜いまでに自分を解放しようとするのかがわかるようになった。

そしてこの時期にまた、彼女の身辺から大事なものが喪われるようになる。

まず長男が高卒後、大手の運輸会社に就職し、東海地方の某市に出張することになり、3年前にアパートを離れた。そして昨年、その土地の女性と結婚した。
海の見える街での披露宴の後、帰りの電車の中で、静江は次から次へと清酒の1合カップを空けて泥酔し、次男に背負われて家へ戻った。

その次男は高卒後、地元の信用金庫に就職していたが、今年から同じ神奈川県内の大都市にある支店に勤務することになり下宿したいと言いだした。
最近になって、まとわりつくように干渉的になった母親から離れたいというのもひとつの理由だったようだ。

静江は勤め先の料亭に住み込むことを決心して、苦労の多かった10余年を過ごしたアパートを出た。
これが入院の半年ほど前のことであるが、この頃から静江は酒を手放せなくなっていた。

チビリ、チビリ、ほんのわずかずつでも、いつも酒を含んで仕事をしていた。
休日には朝から飲んで、寮の自室で布団をかぶっている。
そうした日の翌日には、深酒が過ぎて仕事に出られない。

店の主人や同僚からいやみを言われるようになって、身体の不調を理由にしていた静江は近くの総合病院を訪れざるを得なくなるのだが、ここでかなり重篤な肝障害に冒されているこをを指摘された。

内科へ入院して、もちろん断酒した。
1ヵ月余りで退院し、Y市にある次男の下宿に転がりこんだ時の静江はまるでぬけがらだった。

暗い表情は、仮面のように動かない。口をきくのもおっくうそうで、頭が想いと言いながら終日寝暮らしていたが、そのうち、息子が不在の日中、ウィスキーのポケット瓶を買いだめては隠れ飲みをするようになった。
すぐに連続飲酒発作が出現するようになり、大小便の失禁が始まる。
次男は休暇を取ってC市の病院に行き、担当の内科医に相談した。彼は、そこで初めてアルコール依存症という病名を聞き、精神科の専門医への相談を勧められたのである。
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   <title>女性とアルコール依存症（27）空の巣型</title>
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   <published>2011-04-07T04:40:23Z</published>
   <updated>2011-04-07T05:10:53Z</updated>
   
   <summary>《空の巣型》 女性としての成熟、配偶者選択、出産、育児といった&quot;仕事&quot;を無事にこ...</summary>
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      《空の巣型》

女性としての成熟、配偶者選択、出産、育児といった&quot;仕事&quot;を無事にこなしてきた女性たちも、育った子供たちが次々に家を離れ、夫とも死別し、家にひとり取り残されるようになると淋しさに耐えかねて酔いに身を任すことになりがちである。

こうした、中高年になってからっぽになった巣（家）に取り残された婦人の飲酒問題を、ここではJ・カーリーにならって「空の巣型」の名で呼ぶことにする。
夫の死や離反は比較的わかりやすい形での喪失体験であり、条件が重なれば既述の「愛子」の場合のように急性喪失反応として発症してくることもあるのだが、通常、“喪失“はより穏やかな形を取って徐々に彼女らを襲うのである。
      <![CDATA[===
退職して気の抜けたような毎日を送っている夫をみなければならない妻は、彼女の抱いていた"力強い、頼りがいのある夫"のイメージを喪うことになる。
中高年に入ると、自分の身体からも、様々な物やイメージが喪われてくる。

まず閉経。
人によっては女性性が損われたように感じる。まして、子宮筋腫、卵巣のう腫その他の婦人科的疾患や、乳癌の手術で、これらを剔除されたりすれぽ、自分の身体への愛着、信頼など自己同一性の基本そのものが揺らいでしまい、建て直しに酔いを必要とすることもあり得るのである。
事実、このタイプの女性酒害者の多くは、こうした婦人科的手術侵襲の後にアルコール乱用を発展させてくる。

この「空の巣型」には「未亡人型」とでも呼ぶべき亜型がある。
子供たちが未だ幼い頃に死別、離婚などで夫を喪い、懸命に生きぬいて子供たちを成長させてきた婦人が、子供の独立という目標を達成したとたんに"生ける屍"になり果ててアルコールに溺れだすという場合である。

今回の114症例中に空の巣型は16例（14.0%）みられたが、うち6例が、こうした未亡人型であった。

急性喪失反応との相違を明確にするために「空の巣（未亡人）型」の1例を以下に示す。
既述した「愛子」とちがって、以下に述べる「静江」は"強い"女性であるが、たび重なる喪失体験は、こうした女性をもアルコールに溺れさせて行くのである。

※予告：明日は症例をお届けします。

<table width="400" cellspacing="0" cellpadding="2"><tr><td class="gray">講座名</td><td class="gray">日程</td><td class="gray">時間</td><td class="gray">料金</td><td class="gray">対象</td><td class="gray">会場</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/saito_work/" target="_blank">斎藤学ワークショップ</a></td><td nowrap>4/9、10</td><td nowrap>16:00〜21:00<br />10:00〜18:00</td><td>31,500円</td><td>一般</td><td nowrap>東京<br />麻布</td></tr><tr><td><A HREF="http://www.iff.co.jp/event/saitoopn/index.html" target="_blank">斎藤学オープンカウンセリング</A></td><td>月<br />水</td><td>18:30〜20:30<br />11:00〜13:00</td><td nowrap>3,000円<br />or<br />5,000円</td><td nowrap>一般</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/event/pias3/index.html" target="_blank">サイトウ式逆説的介入アプローチ実践トレーニング</a></td><td>金</td><td>18:30〜20:30</td><td>5,000円</td><td>一般<br />専門</td><td>東京麻布</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/saitonetopn/index.html" target="_blank">斎藤学ネットグループカウンセリング</a></td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>6,300円/年<br />630円/月</td><td>一般</td><td>ネット上</td></tr></table><br/><br/>
<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="300"><tr><td colspan="3" class="gray">斎藤学のアルコール依存症関連書籍</td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/025_h150.jpg" width="100" height="150" alt="アルコール依存症とは何か" class="noborder"/></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/020_h150.jpg" width="93" height="150" class="noborder" /></a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank"><img src="http://www.iff.co.jp/book/bookcover/021_h15.jpg" alt="回復援助" width="101" height="150" class="noborder" /></a></td></tr><tr><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_025h.html" target="_blank">アルコール依存症とは何か</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_020h.html" target="_blank">アルコール依存症に関する１２章</a></td><td><a href="http://www.iff.co.jp/book/020/bk_021h.html" target="_blank">アルコール依存症の回復援助</a></td></tr></table>


<img alt="female_alc.jpg" src="http://iff.s116.coreserver.jp/saito/archives/female_alc.jpg" width="100" height="148" class="noborder"  style="float:right;" />※本原稿は1983年8月25日に（株）海鳴社より出版された「女性とアルコール依存症」（斎藤学著）からほぼ原文のままお届けしています。<br style="clear:both;">]]>
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   <title>女性とアルコール依存症（26）キッチン・ドリンカー型</title>
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   <published>2011-04-06T07:54:27Z</published>
   <updated>2011-04-06T08:43:10Z</updated>
   
   <summary>結婚生活に入った女性たちの一部が飲酒問題を起こすようになる場合、台所での隠れ酒が...</summary>
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      結婚生活に入った女性たちの一部が飲酒問題を起こすようになる場合、台所での隠れ酒が特徴なので、キッチン・ドリンカーという“和製英語”で呼ばれることがある。
彼女たちの病歴を検討すると、以下の3類型に分けられる。

a）「育児ノイローゼ型」
　末子が0歳から1歳という授乳期に飲酒問題が発生してくるケース。
　夜泣きをする乳児に気を取られて、毎夜一睡もできず、日中、乳児が眠る間に自分もわずかの眠りを貪ろうとしてアルコールを常用するようになる場合が多い。
      ===
　このタイプの女性は&quot;母親になったこと&quot;に当惑と拘束感を持っている。無意識レベルでは赤ん坊にある種の&quot;敵意&quot;を抱いているため、意識レベルでは漠然とした罪悪感と不安とに苛まれているものである。
　多くは性同一性に問題のある女性たちで、既述の非行少女型や自立葛藤型に近い青春期を通過して主婦になった者がほとんどである。
　こうした女性たちにとって、赤ん坊の誕生は&quot;獲得&quot;ではなく、むしろ自己の同一性や夫との一体感の&quot;喪失&quot;として経験されるのである。
　こうした場合、育児態度は投げやりになるどころか、反動形成として過度に献身的なものになりがちで、やがて不眠、イライラ、抑うつ感がこうした若い母親をとらえるようになってくる。
　つまり育児ノイローゼである。筆者は20代後半から30代はじめにかけての母親の酒害者に接した場合、こうした問題が背景にあり得ることをまず念頭に置くことにしている。

b）「家族内ストレス型」
　夫の浮気、姑からの圧迫感、財産分与上の争いなどの様々な家族内ストレスが飲酒問題の誘因になるケース。
　この中には夫が酒害者で、酔って乱暴されるのに耐えかね、自分も飲みだして夫婦そろって酒害者になったというケースも含まれる。
　今回の調査対象114例中、38例（33.3%）がキッチン・ドリンカーであるが、その3つの亜型の中では、この「家族内ストレス型」が最も多い（16例、14.0%）、平均年齢では育児ノイローゼ型が、20代の終わりで最も多く、この家族内ストレス型が30代の終わりで年齢層が高く、次に述べる目標喪失型がその中間を占めている。
　
c）「目標喪失型」
　キッチン・ドリンカーたちの中で、最もその誘因のわかり難いケース。
　末の子供が幼稚園や小学校へ行きだして、それほど手のかからなくなった35歳前後の主婦が、子供や夫が不在の家の中で酔いつぶれている場合である。
　これについては次項でその成因を詳しくみることにしよう。
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   <title>女性とアルコール依存症（25）自立葛藤型、オールドミス型と内縁関係型</title>
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   <published>2011-04-05T06:25:50Z</published>
   <updated>2011-04-05T06:26:43Z</updated>
   
   <summary>《自立葛藤型》 一方、自立葛藤型の症例については、本書の冒頭に「英子」の場合とし...</summary>
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      《自立葛藤型》

一方、自立葛藤型の症例については、本書の冒頭に「英子」の場合として紹介しておいた。
非行少女型が衝動抑制の全般的な困難と他罰性を特徴とするのに対し、自立葛藤型では摂食行動異常、盗癖、性的逸脱などの形をとった部分的な衝動抑制不全と自罰性が特徴的という相違がある。

しかしこの両型には様々な共通点があり、もともと青春期ないしプレ成人期の自己同一性の獲得をテーマとする同根の問題から誕生してきたとみるのが妥当であろう。
たまたま今回の調査対象中には自立葛藤型のものが一例しかみられなかったが、最近、若年の女性酒害者の中にこのタイプをみかけることが多くなっている。
      《オールドミス型と内縁関係型》

ひとりの女性としての自己が確立する前後から、配偶者の選択にかかわる諸々の問題が彼女たちを悩ませばじめる。
ここで「オールドミス型」としたような一部の女性たちは、この問題に直面することを回避し、父母のもとに留まろうとしたり、女性同士の仲間関係を遷延させたりする。

性同一性の点で、大なり小なり問題のある人々であり、強い父親固着があったり、母親への固着と女性同性愛の傾向（多くは潜在的なもの）がみられたりする。
こうした人々が中年に入って、父親の死亡、同性の親友の離別などを経験し、これを契機として飲酒問題を発生させてくるわけである。

一方、この時期の異性との交渉に積極果敢で、多彩な男性遍歴をくり広げる女性たちの一群もいるが、彼女たちは一面で恋愛関係上の手ひどい喪失体験を味わわされることになりがちである。
その1部はこうした体験の後、種々の型の内縁関係に入って行く。
ほとんどは、20歳前後から水商売の世界になじむようになった人々で、恋人の喪失や、ごく短期間の結婚生活の破綻を経過した後、&quot;妾”、&quot;2号&quot;など、自らの女性性を売り物に、力のある男性の保護を求める生活を選ぶようになるわけである。

こうした、いわゆる&quot;パトロン&quot;との生活は、情緒的にも経済的にも不安定で、種々の形の喪失体験にさらされやすく、彼女らの心の傷はさらに広げられることになる。

一方で彼女たちの多くが身を置いている水商売の世界では、陽気に、気楽そうに振舞わねばならない。
酔ってはしゃぐという形での躁的防衛が、彼女たちの適応技術となり、アルコール依存を一層押し進めることになってしまうのである。

こうした適応と均衡が中年に入ってついに崩れ、酒害が表面に出てきた女性たちが、ここで言う「内縁関係型」の人々であり、その平均年齢は40.1歳となっている。
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