カテゴリー「新Q&A1」の一覧

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2006年05月01日

買い物依存で満たされていたもの(1/3)

ブログ「新Q&A」

 新しい文体(スタイル)で皆さんの悩みとその解決への道をお伝えしてみます。スタイルはこれからも変化すると思います。なるべく私にとって楽で、だから継続しやすいというところを探ることになるでしょう。書かれていることは「モデルはあるが創作(フィクション)」です。以後[S]とあるのは、私、「さいとうさとる」のこと。SクリニックやSミーティングのSも同じ意味です。

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■х年12月13日(オープンカウンセリングで)

クライアント
image060501.jpg
 今30代後半のシングルマザーで公務員です。6年前に子連れで離婚しました。
 離婚した相手は元同僚ですが、どうしようもないマザコンで、おまけにパチンコ依存のバカ男でした。15年も妻をやってたなんて今考えると私もバカでした。幸い大学を出てからずっと公務員として働いて来ましたので、離婚しても経済的には問題がありませんでした。

 ところがバカ夫との関係が切れて落ち着いてくると私は猛烈に買い物をするようになてしまつたのです。バックです。あるブランドの一定の型番のヤツ、数種類、毎年出るでしょ。それすぐ買うの。百万はふつう。数十万は安いほう。人が今年のヤツ持ってると許せないと思っちゃう。
 バカですよね。まるで駆り立てられるようでした。狂ってしまった、とは当初から気づいていましたが、結局6年間走り続けました。とうとう限界がきちゃって。カードが使えなくなって。私もともと小心者なんで、「どうしようっ!」って。でも、滅多な人に相談できなくて。ここ(オープンカウンセリング)に行ったらという友人がいて、それで来たんです。

 こんな相談受けてもらえるんでしょうか?
(後半に続く…)
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斎藤学の講座・ワークショップ

講座名日程時間料金対象会場
斎藤学ワークショップ6/17
18
14:00〜20:00
10:00〜18:00
31,500円一般東京麻布
斎藤学オープンカウンセリング18:30〜20:303,000円
5,000円
一般東京麻布
親のための家族相談18:30〜20:303,000円
5,000円
一般東京麻布

※開催日については必ず各講座の詳細ページでご確認下さい

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2006年05月02日

買い物依存で満たされていたもの(2/3)

[S]
image060502.jpg このところ毎週数件は借金がらみの相談を受けてますよ。ただ、当人がやって来るというのは珍しいですね。普通は親とか妻とか家族がやってきて「危機介入」とか「家族介入」とかのお節介をするんです。おかげで利息制限法やら出資法やらグレイゾーン金利とかにに詳しくなってしまった。
 「そんな利率の借金なんてない。払いすぎだから返してもらえ」、なんて弁護士がするような助言をすることもあります。もちろん本格的なところでは私に協力してくれている弁護士さんたちにお任せすることになるんですがね。

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 あなたみたいにご本人が登場するというのは珍しい。でも殆どは、治療を薦める家族や弁護士への義理立てとしてやってくるので真の治療動機づけからは遠いんです。だから散治療契約に従ってもらえない。ドロップアウトしてしまうことが多い。

 でも中には本当に困って来院して短期間で改善して行く場合もあります。そうした人々の場合、抑うつ気分が見られることが多いのです。
 ギャンブル依存者(男性が多い)の約半数が抗うつ剤に反応するという国外研究者の報告([参考文献]斎藤学:強迫的(病的)賭博とその治療.アルコール依存とアディクション,13(2):102-109,1996)がありますが、このことは買い物依存者(女性に多い)にもあてはまる。
 私の印象ではそれほどの高率でヒットするわけではないが、確かに抗うつ剤が有効な場合はあります。しかし、より有効なのはやはり適切な精神療法、特に集団療法が併用されている場合です。あなたもクリニック(さいとうクリニック)の治療プログラムを試した方がいいですね。
自分の居場所のみつけかた斎藤学の新刊「自分の居場所のみつけかた」

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2006年05月09日

買い物依存で満たされていたもの(3/3)

(続き)
■х+1年2月3日(Sクリニックの「Sミーティング」で)

[クライアント]

image060509_1.jpg 先生のミーティング(集団療法)でシェア(体験を分かち合うこと、つまり話すこと)させて頂いてから、朝夕の抑うつ感がほぼなくなりました。『それでも親を愛している』と言い切れたことが効いているんだよ、という先生の指摘は、そのとうりなのかも知れません。

 買い物そのものはSクリニツクに来てはピタリと止まりました。でも、それから2ヶ月になるんですが、だんだん元気がなくなってきちゃったんです。あのブランドものバックの山は何だったのだろうと日々呆然と考えてるだけで、職場に行くのもやっとです。
 25年前の父の浮気と母の病的な嫉妬、耳に耐え難い口論を聞く日々。父に夢中な母は私のことが目に入らなかったんです。私は寂しかった。でも、そんなことをタネに未だに非行オバサンをしている自分が悲しいです。
 ホントは私、父も母も大好きなんです。

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[S]

 アディクションが止まって憂うつになるというのはあたり前のことなんです。そこでもとの嗜癖行動に戻らないようにするというところが難しいのです。抑うつの壁を乗り越えならないことが多くて、もとの依存行動に戻ってしまいます。
 でも、あなたは何とかうまく行くかも知れない。「父さん母さんが好き」と言えてますからね。

■その後

image060509_2.jpg 抑うつの壁が依存症からの脱却を難しくする。普通はこの段階でリラプス(依存行動の再燃)ということになるのだが、この女性は回復を目指して果敢に突っ込んだ。

 行きつけの呉服屋から頻々と誘いのeメイルが来るのを無視しているうちに封書が来た。「注文したバッグが届いているから取りに来て欲しい」と言うものである。
 次のミーティングでそれを聞いたSは、「店にはすぐに連絡すること。ただし品物を送って欲しいということ」と指示した。まず店に行かせないことが当面の課題になるからだ。
 依存行動は一連の連鎖で成り立っており、その基盤には「その行動によってしか得られない人間関係」がある。この女性の場合、彼女を優しく包みこみ慰撫する店の雰囲気や店員の丁寧かつ親切な応対が彼女を酔わせていたのだから、店に足を運ばせないことが優先課題になるのだ。

 この助言が効いて彼女は新しい買い物をせずにすんだ。勢いづいた彼女は他の二店で「お取り置き」していた鞄も断った。

 今は山ほどに溜まったバッグや靴などを売りさばくことに精出している。品物は使っていなくとも買ったときの半値以下、使ったものなら一割しか戻らない。辛いのは店の人々の反応だという。買い物していたとき、店員たちは自分のすべてを受け入れてくれる親友のようだったのに、こちらが売り手にまわると冷たい。この6年、店員たちの笑顔が生き甲斐だった。そして新品のバッグを競い合う友人たちとの付き合いだけが彼女に安心感を与えていた。今は寂しい。

 結局、すべての依存症の根源には、この寂しさがある。それに耐えなければならないからこそミーティングが必要なのだ。(S)

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