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2011年04月26日
女性とアルコール依存症(35)酒害者自身への助言3
(5)『あなたにとってお酒の問題は赤信号に過ぎないのです』
問題は、彼女たちが絶望し、生を投げだしそうになっているところにある。
飲酒問題はその他の自己破壊行動と並んで、このことを示す赤信号なのだ。
言い変えれば不器用な彼女らがなんとか絞り出した助けを呼ぶ声なのだから、治療者としては"聞こえた、了解した"ということが示せれば(彼女たちが納得するようにそれを示すのはなかなか難しいが)それで飲酒問題はなくなる。
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難しいのはその後であって、相変わらず厳しい状況の中で、酔いという防衛も禁じられて立ちすくんでいる彼女たちに、どうやって他者とかかわる力(つまり生きる力)を取り戻させるかだ。
これに失敗すると、彼女たちはたちまち元の飲酒行動に逃げ込むことで自分の身を守ろうとする。
(6)『あなたには、自分を癒すエネルギーが備わっているではありませんか』
「とにかくあなたは、私の前まで来られるじゃありませんか」と言う。
「それはあなたの内部に何とかしょうとして蠢(うごめ)いている力があるからですし、まだまだ使える足がついてるからです」とも言う。
治療者に向かう情動の動き、足の運びを一貫して評価し、伸ばすのである。
"足"はまだ充分に残っている彼女の健康な部分の象徴であり、それを使って歩く方向は、他者とのかかわりに向いていなければならないが、彼女の歩みは彼女のものであって、誰も代わってあげることはできない。助けてあげることも有害である。
(7)『60点で合格です。100点を求めようとしないこと』
100点でなければ0点、真っ白でなければ真っ黒という世界の中で彼女たちは生きてきた。
彼女たちに50点や灰色の存在を実感させるのはなかなか難しいがそれができないと、治療者との関係が維持できなくなってしまう。
はじめ治療者は彼女の心の中に力強く、情深い、100点満点のスーパーマンとして登場しがちだから、ただの人であることが視えてくると、一挙に0点で真っ黒になってしまうからである。
多少しみの目立つ、灰色の人であっても、自分にとって60点の“ほぼ良い"治療者であればつながりを保ち続けるという柔軟性を育てられれば、彼女と他者との関係は随分と楽なものになるはずだ。
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※本原稿は1983年8月25日に(株)海鳴社より出版された「女性とアルコール依存症」(斎藤学著)からほぼ原文のままお届けしています。
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