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2006年08月07日

「胸の重石」の正体(3/5)

(Q)ええ。去年の4月にひと月ほど家に居て、そこを出てから帰ってません。母からは帰ってくるようにと連絡があるのですが・・・家に居るといっそう苦しくなるんです。

 このクリニックに来ることを決めたとき、親たちは反対して実家のある県の県立精神保健センターを受診するよう勧めました。そのときも私は自分を説明できなくて、裸になりました。胸から腹にかけて切り下ろした傷跡を見せたのです。それから親たちは私のやることに反対しなくなりました。

===
(S)そうでしたね。あのころ一度だけお母さまにお会いした記憶があります。きちんとしていて論理的なお話のしかたをされる方でした。いわゆる「まともな人」。確か以前は教師としておつとめなさっていたとか。お父さまも先生でしたね。
 あなたはしっかりした家のお嬢さんで、国立大学の教育学部に進んだのに、まるで、そうしたすべての「まとも」に対抗しているかのようでした。多分、あの強力なお母さまの居る家の中に呑み込まれたり、溶かされたりするのがいやだったんでしょう。

 手の甲を蝶々の形の切って、そこにブルーブラックのインクを垂らして入れ墨した。それから家を出て放浪した。ホームレスみたいなおじさんと仲良くなったり、警備員になったり、ゴンドラに乗って高層ビルの窓ふきをしたり。まるで死と隣り合わせみたいな生活を選んできた。

 それらのすべてがお母さんとの会話の後に残った「小石のようなしこり」から始まったと考えると何かが見えてくる気がします。(続く)

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2006年08月07日 10:00:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ