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2006年08月03日

「胸の重石」の正体(1/5)

image060803.jpg(Q)25歳になります。中学ころからずぅーと現実感が無くて、胸に重石が入っている感じがしていました。それが苦しくて、19歳、大学2年のときに校舎の2階から飛び降りてみましたが、死ねませんでした。
 それをきっかけに学校を辞めて、それから暫くして家も離れてアルバイトを幾つかしてきましたが重石は増すばかり。このクリニックへ来て治療を受け始めましたが、胸の苦しさは変わりません。

 最近は胸が痛くて張り裂けそうでたまりません。昨晩はボーイフレンドと一緒だったんですが、セックスしても何も感じなくて、そのまま裸で外へ出てタバコ吸ってました。
 これじゃ生きていてもしょうがない。死のうかなと思って彼の部屋、3階なんですけれどそこまで戻って飛び降りようとしたけれど、やはり怖くて部屋に戻ったら彼はイビキかいて良く寝てました。

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 私は風呂場へ行って手首を切ったらけっこう血が出た。いつのまにか彼が起き出してきていて、しゃがんで手首の血を見てた私の後ろに立ってて、それからティシューを持ってきて傷口に強くあててくれました。救急車呼ぼうか?って言いましたが、断って彼のベットに転がったら彼は手首を握っていてくれた。
 私はその後寝ちゃったらしいんですけど、彼は私がまた部屋を出たり手首を切ったりするんじゃないかと心配して、ずっと朝まで起きててくれたそうです。

 このままこんなふうに過ごしていてもしょうがないかなって思います。この張り裂ける感じは何なんでしょう? 治るんでしょうか?

(S)5年前に初めてお会いしたころのあなたは、「胸の重石」と言ってましたよね。ここにこんな風に入っていると絵に描いたりして・・・だから私はセネストパチー(cenestopapathie<仏>,cenestopathy<英>=体感症、体感異常、体感幻覚症)だと思いました。
 ここからは統合失調が始まることもあるし、うつ病がはっきりしてくることもあります。でも、このごろのあなたは「胸が痛い」「張り裂けるようだ」と言ってますよね。変わってきてるんですよ。それに、あのころのあなたはひとりぼっちで放浪していた。帰って来いという親の家には居られないで、どこにも居場所がないようだった。
 今もそれは変わらないのかも知れないけれど、少なくとも今はそのボーイフレンドのところにあなたは居られる。その点は良くなっているのだと思います。

 ただ手首切り、腕切りなどの自傷行為は困りますね。おそらく疎隔感や空虚感を伴う現実感喪失(derealization)が苦しくて、感情をリセットしようとしてやるんですね。
 痛みと出血でアドレナリンやドーパミンが放出されますから覚醒作用もあるし、その後ではおそらくセロトニンの活性化も起こって、精神安定と睡眠導入につながるのでしょう。おまけに出血などのSOSサインによって周囲からの支援も得られやすくなる。いろいろ便利なのですよ、自傷は。

 その重石は何ですか? というご質問ですが、まずいつからそれが出てきたかを考えてみましょう。憶い出せますか?
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