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2006年07月07日
外傷性記憶を解凍する(1/6)
以下に述べる症例「A」にはモデルがいるが、記述は事実そのままではない。プライバシーに配慮して時間の経過や場所、家族関係などについては可能な範囲内で粉飾を施したし、「A」さんが「事件」の全容を語り出す経緯などはフィクションである。ただし生じた「事件」の骨組みそのものについては加工していない。
こうした形で記録を公開するについては今なお躊躇するところが多い。しかし外傷体験に伴うフラッシュバックや身体表現性障害の治療についての具体的な記述が乏しい現状では、この記載は貴重と考えた。
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この症例を介して読者に伝えたいことは、強迫行為や心因性(と想われる)身体不調を訴えながら精神科を訪れてくる患者の中には、受診後かなりの年月を経て外傷体験(トラウマ)を語るようになる人々がいるということである。
この場合、時間が無駄に費やされたと考えるべきではないと私は思う。それを語るには時が必要だったのだ。
この「A」さんは、自分の性被害体験を語るのに5年の準備を要したが、それで良かったのだと思う。この種の微妙な問題を早急に語らせようとすると副作用の害の方が多くなってしまうということも起こるからだ。
伝えたいことのもうひとつは、この種の体験をグループの中で語って頂くことの治療的意味である。
グループの中で外傷体験について語るというのも、実は「もうひとつの外傷体験」なのだ。そしてこの直近の外傷体験の記憶が過去の外傷性記憶を上塗りすることによって記憶(というより「事件の記憶」にまつわる感情)が修正される。これらのことがうまく伝えられていると良いのだが。
(続く…)
2006年07月07日 16:27:[←ブログメインに戻る][←IFFトップページへ][↑ページ上端へ]