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2006年04月28日

マッチョたち(2/2)

image060428.jpg もっと「危ない」人もいた。体格の良い30代はじめの自営業の男性は参加して数回目の時に右手の拳に包帯を巻いていたので、怪我ですか、と訊いた。

 「いやね、パチンコ屋でスロットやってたんですよ。そしたら右隣の客が独り言うもんで、ウルサイって言ったんです。そしたらこっちにガンつけてきたんで前向いたまんま顎に一発くれてやったら、ヤロウ吹っ飛びましてね。そんとき拳にヒビ入っちゃって」
 「あなた殴りなれてるみたいね」
 「俺、高校でも大学でもボクシング部でしたから。女房のときもそれで怪我させちゃって。まずいな、とはおもうんですよね。でも気がつくと相手は倒れてんの」。

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 その次のミーティングで、彼は更に仰天することを言った。仕事でバイクに乗っていたそうである。ある交差点を赤信号直前に渡った。歩道で信号が変るのを待っていた歩行者が横断歩道を歩きだそうとしていたところをスレスレで横切る形になり、その歩行者(中年女性)が舌打ちした。こうしたとき、彼は怒りの衝動を抑えきれなくなる。それでも何とか数十メートル走ったのだが、ついに(といっても一瞬のことだろうが)キレ、彼は何と歩道を逆送し、まだ横断歩道を渡っていたその女性を追いかけた。その女性が難を逃れたのは、大勢の歩行者が彼の突進を妨げているうちに、彼の方で何とか怒りの抑制に成功したからだが、場合によってはひどいことになっただろう。

 この人はその後、家裁での調停中に妻を殴ろうとして間に入った調停員と相手側弁護士を殴り倒し、この時点で離婚が成立してからグループに出なくなってしまった。前に挙げた格闘家も参加したのは1回切りである。

 精神科医としての私の関心は、こうしたキレ男たちの衝動コントロールにこそあるので彼らの脱落は残念なのだが、私たちの私的なグループには何の拘束力もないから彼らとの関係を維持できない。何らかの法的拘束(暴力加害者を司法制度の中で処罰・更正の対象とすることなく、軽微な犯罪行為については民間の治療プログラムに任せて、治療効果を評価する)のもとに治療を進めることができれば、こうした男の怒りの衝動も制御可能と私は考えている。後にそうした実例を紹介する機会はあるだろう。

 今のところ私たちのバタラーズ・グループに継続参加しているのは、人との出会いを大切にできる人、怒りをある程度言語化できる人に限られている。そうした人々の多くは有能なサラリーマンであり、彼らは金曜日の夜という勤め人にとっては大事な時間を使ってバタラーズ・ミーティングに参加する。

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木附ブログ

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2006年04月28日 10:39:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ