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2006年02月09日
息子のうつと無気力
相談者からの質問
初めて参加します。こんなふうにみなさんの前でお話しするとは知らず、焦っています。
きょうは26歳になる長男のことでご相談します。
家族構成は私たち夫婦と主人の母親と、すでに結婚して家を出た長女とその長男です。
息子は高校生になった頃から、最初は学業不振のようなことが引き金で不安定になりました。もともと気が弱いというか優しいというか、中学生までは大変優しいいい子で来た子なんですが、それからいろんなことが起こりまして、無気力だったり不安が強かったり、自分からいやな匂いがしてるってことを言い出したりしました。それからうつになりまして、友達が精神科の先生を紹介してくれ、抗うつ剤を飲みましたところ、今度は副作用なのでしょうか躁状態になりまして、そんなことを繰り返しておりましたので、学校の方も卒業できないままやめてしまいました。20歳をすぎた頃に躁の状態がひどくて、本人の意思で4カ月ほど入院しました。その後は躁の状態になることもなくて、4年間くらいは通院の形で精神科に通っていました。
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私どもも精神科の先生のご意見を聞き、親としてどうしたらいいのか、なぜこんなことになったのかということを、それなりに考えては来たのですが、今ひとつはっきりしないままでした。
ですが、いろいろな経過をへまして、25歳の時からアルバイトですけれど社会人らしい生活が続けられるようになり、「10年間かかったけれど、やっとこれでどうにか本人も独り立ちができるかな」と思っておりました矢先に、昨年の暮れから、また朝起きられなくなりまして、以来、今に至るまで、家の中に引きこもっている状態です。
初めは神経症的に手を洗いすぎるとかお風呂に入りすぎるというくらいだったのが、そのうち3日も4日もお風呂に入らなかったり、部屋を散らかり放題にするようになりました。しかし、最近はさほどでもなくて、お風呂にも入り、食事の時は「ご飯よ」といえば降りてきて一緒に食べますが、同席するのは食事の時くらいです。本人は無言で食べて、私の方は適当に、オリンピックの話をしたりするんですが、「うん」とか「はあ」とかいうくらいです。「洗濯物入れといてね」とか、「これ、直しといてね」と頼むとちゃんとやってくれますが、親との会話をさけているような状態です。
暴力を振るったりということは、今までもありませんので、いろんな方のお話を聞きますと、うちは静かな方なのかなとは思うのですけれど、親としてはどういうふうに対応したらいいのか迷います。長く引きこもってる人の話を聞きますと、「そのうち本人の元気が出てくるのを待つだけでいいのかな」と思ったりはするのですが。何か治療法といいますか、治す気を起こさせるのに働きかける方法はないかなと、ご相談したいと思います。
斎藤学からの回答
斎藤:今までずいぶんお医者さんにも相談なさってるんですよね。それで、それ以上、何をお聞きになりたいんですか。
──今のようなひきこもりの状態は初めてなのです。以前のうつの時の状態と今とでは、本人の顔つきもなんか違うように思うのです。起きてくる時間は相変わらず遅いんですけど、顔つきは普通の顔をしていますので、今はもう、精神科の先生にいってお薬もらってこいという状態とは違うのではないかと。
斎藤:じゃあよくなってるじゃない。良くなってて、ちょっと目が覚めたような状態になったから1年ばかり働いてみたけれど、働くのも飽きたんじゃないんですか。そのまま家にいてはいけませんか? 親が何とか生きていけてるのだから、子どもはさしあたって働く必要ないでしょ。
「26だから26なりの仕事をして収入をもたらすべきだ」と思うのは良くわかりますか、息子さんが自分なりに判断して、「できない」と思って引きこもっているのなら、それもいいのじゃないでしょうか。そういう状態が困るか困らないかという話を息子さんにしてみるのは勝手だけれど、してみたところで本人が焦るだけですよね。
まあ、この人は放置すれば動き出すでしょう。あなたから見て病気のときとは違うなと見えるのであればね。あなたとしては、この1年ほど彼が表へ出てアルバイトなさったとき、「光が見え始めたな」と思われたんでしょ。その光を見失わないことですね。あなた自身が。
天照大神じゃないけれど、天の岩戸みたいなところから自分が引っ込んだり出たりするたびに、お母さんの顔が輝いたり曇ったりしてると、親の顔を輝かすためにアルバイトしなきゃみたいな話になって、そこにとらわれて辛くなってしまうんですよ。自分のペースでやるというのが、こういう病気の人にとっては大事なことです。1年間できたんなら、曇り空に晴れ間が見えたという状態です。だんだん晴れ間が広がって行くのを待てばいいんです。ここであんまり焦らないことですね。
えーと。不登校、引きこもり、躁鬱病といわれてたと。いろんなことがそろってますね。そして抗うつ剤使って躁転したということですね。これはどういうことかというと「本物」ということです。抑うつ状態の中にも、人格的な偏りとか、自分の生活の行き詰まりとかで起こってくるものもありますが、なかには神経ホルモンの失調状態で起こってくるものがある。私が「本物」というのはこのタイプです。薬で治るんだからこんないいことはない。こんなものはだんだんお薬で管理できるようになりますから、そのうち精神科の領域じゃなくて内科の病気になるのでしょう。
多くのうつ病は薬だけじゃうまくいかないで、人間関係のもつれなどがくっついてくるものが多いのです。このように、「薬を使ったら躁状態に変わった」というのは、薬でコントロールできるタイプの感情障害であることが多いのです。だとすれば、今のような安定の状態が来たらば、あとはゆっくりと、本人の快復の具合を見て、話を進めていくのが正しいでしょう。この場合は、家族をいじったり、当人の人間関係をいじったりするような治療にしちゃうと、かえってまずいですね。
お医者さんのところはいってらっしゃるの?
──ええ。暮れから引きこもってますから、その間に私が2回ほど行きましたけれど、「まあ、しばらくは疲れたんでしょうから、親としてはふつうに言葉かけをしてあげてください」ということですので、そのようにはしてるんですけれど。
斎藤:そのくらいでいいですよ。こちらのクリニックにご本人がいらっしゃるのはかまわないけれど、薬物管理の方が大事だと思います。今まで見ていただいた先生がいるんでしたら、その先生に状態をよく把握してもらった方がいいと思いますよ。
新規講座・ワークショップ
| 講座名 | 日程 | 時間 | 料金 | 対象 | 会場 |
| 死別トラウマのための演劇療法 | 3/7〜火8回 | 14:30〜16:30 | 20,000円 | 一般 | 東京港区 |
| 弁証法的行動療法(DBT)ワークショップ | 7/8、9 | 9:30〜17:00 | 42,000円 | 一般 | 東京有明 |
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