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2005年11月22日

恋人にしがみついてしまう(2)

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image051014_3.jpg斎藤:そうなると、どんどん転がっていって、うっとうしさが雪だるまみたいに大きくなってしまう。

 そうならないためには何が必要でしょうか。
 それは「彼は私を求めている」という信念の大きさです。

 「でも彼が私を求めているなんてことはいったいどこでわかるんでしょうか」とあなたは疑問に思われるでしょう。
 これはね、証拠を集めて確証を得て「ほらやっぱり彼はあなたを愛している」とか「こうだから愛が足りないんだ」とかってわかるものじゃないんです。自分で決めちゃうんです。思いつきです。「彼は私を愛している」という直感です。健康な人は、こういうとき、自分に都合のいいように思いつくんです。

 でも少し気持ちが弱くなってきていると、そういう思いこみができなくなってくるんです。「私は彼に迷惑かけてるんじゃないか」とか「もっとふさわしい女性がいるんじゃないか」とか、「私がそばにくっついているために、彼はすてきな女性に巡り会えないのだ」とか。
 でも、「私よりふさわしい女性」なんて、考えてみて何か役にたつんでしょうか。具体的に比較の対象でも現れれば別ですけど、もし、そんな人がいるにしたって、どっちが「ふさわしい」かなんて、わかったもんじゃありませんよ。比較したって正確な答えなんかない。
 一時は、もう少し彼の愛が信じられたんですか?

  ----いえ、以前はもっと自信がなかったです。このごろは、彼の部屋に女性の友達を入れるのはやめてくれ、とか言えるようになりました。

===
斎藤:親密さは増しているんですね。
 異性の間でも、同性の間でも同じだと思いますが、特に、異性の間で二人の距離が近づくときには、双方のもっている「お母さんイメージ」を引き出しますね。「母の愛」ってなものに信頼をもてた人とそうでない人との間で、この辺の不安に差が出てくる。「お母さんが私を愛しているのは当たり前だ」と思える人の方が、軽々と人を愛せるんですよ。「あたしは愛されて当たり前」と思っているから、軽々と飛び回って、くっつきたい人にくっついて、仮にふられても、「まあ」なんて驚いて、「あっそ、ご迷惑ならほか行くわ」なんて言って、あんまり傷つかないんですね。

 母の愛を信じられるような状態になかった人っていうのは、どうしても「証拠探し」をしたり、相手のそぶりの中に「自分を迷惑に思ってる」証拠をさがして、否定的に否定的にものを考えていくんです。こうなると目つきが真剣になっていくし、相手を恐怖で縛ります。「ここで彼女を放り出したら死んじゃうんじゃないか」っていう恐怖です。「そんなことされたらかなわないから、じゃあ、一緒になりましょうか」みたいな。

 あなたは今のままの気持ちで行くと、だんだん心の中で彼の存在が巨大になっていって、その巨大な彼の前で萎縮している子ども、みたいになってしまいます。そうなると、一緒になったときに、必ずと言っていいほど、あなたは子ども返りしますよ。今のところはまだ、彼の前で暴れたりはしていませんか?

 ----実際にはしていませんが、大暴れする夢を見ました。

image051122_1.jpg斎藤:夢の中でやる分にはいいですけどね、実際にそっちの方へ行かないようにするためには、自分自身に肯定感を持つことが大事ですね。でも、「自己肯定しよう」なんてこと、私に言われなくたって、自分でもそう思っているんでしょう。

 ----はい。

斎藤:ってことは、自己肯定する方法が具体的にうまくいってないんだね。どうしたらいいかしら。

 ----何かしなくちゃいけないと思うんです。彼のところばっかりいって束縛してしまうと良くないし、仕事をすればいいのかなと。

斎藤:でも、人を好きになるってことは、ある程度束縛しあうことだから、いいんじゃないですか。

 ----はあ。

斎藤:あなたはいま、ここのクリニックに通ってらっしゃるけど、ここへはいろんな人がやってきますね。なかば入院するみたいに、世間から隠遁するような形でここへ通ってる人たちもいる。ただカラオケに行く仲間を捜して麻布をぶらぶらして。それで現実的な問題に直面するのをさけて、どんどん患者さんになっていくような。痛みもないでしょうけど進歩もないよね。

 それに比べてあなたはいま、恋をしている。人を恋するってことは、要するに苦しいことですよね、「捨てられるかもしれない」なんて不安におびえて、彼との関係を通して、自分の今までの親との関係なんかを否応なく総ざらいさせられて。試験受けてるようなもんですよね。大事なライフイベントですよ。それを地道にこなされる方が、ここへ通ってくるよりも何倍も人生の勉強になると思います。まあ、勉強するために人生やるわけじゃありませんけどね。でもあなたには力がおありになる。

 どうでしょう、この際、彼の方へ行っちゃって、そっちで働いてたまにここへ通ってくるようになさっては。毎日手首切りしてやっと生きてるような方には、私はそんなことおすすめしません。
 あなたとしては今、追い込まれたような気持ちなんでしょう。そういう気持ちの時になさることは、立ち止まって自分を見つめたり、自己分析することじゃなくて、彼にアプローチすることじゃないですか。

※この原稿は「斎藤学オープンカウンセリング」(火曜日18時30分〜20時30分、東京麻布、予約不要)での相談者と斎藤学のやりとりをもとに作成されました。
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木附ブログ

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2005年11月22日 11:12:[←ブログメインに戻る]←IFFトップページへ][↑ページ上端へ