2017年11月11日

子ども不在の国ーー第4・5回日本政府報告書に寄せて(1)

 もう10年も前の話になりますが、ある週刊誌で『子どもはもういない』という帯タイトルで連載をしていたことがあります。

 おとなに見守られながら、子どもが「子どもらしく」のんびりしたり、わがままを言ったり、失敗したり、つまずいたりしながら、時間をかけて大きくなっていくことができない日本社会の実態をさまざまな側面から切り取った連載でした。

 たとえば、前回までの「急がされる子どもたち」でも書いたように、①幼いうちから「賢い消費者たれ」と、お金の使い方や増やし方、働き方を習わされる現状(市民化教育)が行われていることや、②親や支え手のいない子どもがとにかく自分で稼いで「自立」するよう強いられていること、③お金のかかる障害児教育や養育への公共投資がどんどん減っていることなどなどを取り上げていました。

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投稿者 iff : 13:20

2017年10月24日

急がされる子どもたち(8)

 一方で、市場での自由競争を信奉し、経済活動を最優先とする市民(消費者)づくりのための仕組みづくりも整えられていきました。
「総合的な学習の時間」などを窓口に、企業はキャリア教育や社会貢献(CSR)と称して堂々と学校の正門から出入りできるようになったのです。

 そうして、大手金融機関による株式投資などの金融教育、子どもが大好きなジャンクフード会社が行う食育、電話会社による携帯電話の安全な使い方教室・・・挙げればキリがないほど、「市民教育」という名のさまざまな消費者教育が行われるようになりました。

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投稿者 iff : 21:54

2017年10月06日

急がされる子どもたち(7)

「夜スペシャル」を導入した民間人校長は、当時、学校のホームページで「100万円単位のお金をかけられない家庭では、上位の高校にチャレンジすらできなかった。(略)和田中では月1万円出せば、3年生までに上位校を受験するチカラがつく。これこそ、完全ではないが『公平』な教育機会の提供だ」と語っていました。
「お金がある者と無い者が存在する格差社会は当然である」という考えがあるからこその発言です。

 そんな元校長に同意し、東京都杉並区立和田中学校が学習塾・サピックスと提携してはじめた有料の「夜スペシャル」を肯定することは、「格差社会を是認する」ことになります。

 お金が「ある」「なし」で、受けられる教育が変わってしまう。・・・それは教育格差が当たり前になるということです。それは必ず、世代間を連鎖して経済格差につながり、極端なお金持ちと、生活ぎりぎりの人が暮らす社会をつくっていきます。

 それにもかかわらず、多くの日本人がこの状況を歓迎したのです。その状況に、私はとてつもなく大きな衝撃を受けました。

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投稿者 iff : 11:30

2017年09月29日

急がされる子どもたち(6)

 1998年に行われた子どもの権利条約に基づく第一回目の国連「子どもの権利委員会」による日本政府報告審査のとき、すでに「過度に競争的な教育制度が子どもの発達を歪めている」という衝撃的な勧告を受けた日本。
 残念ながら、この国連からの指摘を真摯に受け止め、根本的に改められることはありませんでした。

 いえ、それどころか前回のブログに書いた教育改革国民会議(2000年)以降、「国際競争に打ち勝つ人材育成」を全面に押し出した教育制度、あらゆる領域を金儲けの対象とする聖域無き構造改革が子どもと、子どもの周りにいるおとなたちを襲いました。
 グローバル化する世界経済のなかで格差社会が到来し、だれもが競争のレースに乗せられる時代が幕を開け、それに合わせた教育が始まったのです。

 表面上はあいかわらず「ゆとり教育」という名前を冠し、競争とは相容れない教育を行っているという顔を装いながら・・・。

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投稿者 iff : 11:03

2017年09月19日

急がされる子どもたち(5)

 いったいいつから、日本の子どもはこんなにも忙しくなってしまったのでしょうか。

 もちろん、教育基本法の「改正」(2006年)や全国学力・学習状況調査の再開(2007年)など、第一次安倍政が果たした役割は大きなものでした。だけど振り返ってみれば、道筋を決定づけたのは「郵政事業の民営化」で有名な小泉構造改革(2001~2006年)だった気がします。

 同改革は「聖域無き構造改革」とも呼ばれたように、それまでは「人が人らしく生きるために不可欠」として守られていた教育や福祉などについても「官から民へ」、「市場にできることは市場で」と、市場開放を進め、市場原理に基づく制度改革を本格化させました。

 誤解を恐れずに乱暴に言うのであれば、「すべては金で買うもの」の社会へと大きく舵を切ったのです。

 企業は国の「規制緩和」を追い風に「社会貢献」を理由にしながら、子どもの成長・発達にかかわる保育や公教育などの分野に入り込み、お金儲けができるようになりました。

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投稿者 iff : 10:20

2017年09月06日

急がされる子どもたち(4)

 子どもたちが急がされているのは、毎日の生活の中だけではありません。    私が...続きを読む "急がされる子どもたち(4)"

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2017年08月23日

急がされる子どもたち(3)

 私が子どもたちの異常な忙しさを感じるようになったのは、震災後です。  次回、子...続きを読む "急がされる子どもたち(3)"

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2017年08月14日

急がされる子どもたち(2)

「新学習指導要領をいち早く先取りした」(静岡県吉田町の浅井啓言教育長)とはどうい...続きを読む "急がされる子どもたち(2)"

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2017年08月01日

急がされる子どもたち(1)

 8月に入っていよいよ夏本番。夏休みムードも高まってきました。みなさんは、「夏休...続きを読む "急がされる子どもたち(1)"

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2017年07月19日

カーリングペアレント(5)

 そもそも子どもに何かを教え込もうとか、しつけようとか、指導しようということ自体...続きを読む "カーリングペアレント(5)"

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2017年07月07日

カーリングペアレント(4)

 近年の愛着(アタッチメント)理論を中心とする研究結果や子どもの権利条約の内容を...続きを読む "カーリングペアレント(4)"

投稿者 iff : 16:22

2017年06月26日

カーリングペアレント(3)

 そしてこの12条は、心理学的に考えれば「子ども自らが安定した愛着関係を築くこと...続きを読む "カーリングペアレント(3)"

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2017年06月19日

カーリングペアレント(2)

 でも、それはおかしな話ですよね。そもそもなぜ子どもの権利条約という、「子どもの...続きを読む "カーリングペアレント(2)"

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2017年06月02日

カーリングペアレント(1)

 遅ればせながら、「カーリングペアレント」という言葉を知りました。つい最近読んだ...続きを読む "カーリングペアレント(1)"

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2017年05月22日

東日本大震災から6年(8)

 いえ、もしかしたらそもそも「幸せ」の定義が変わってしまったのかもしれません。前...続きを読む "東日本大震災から6年(8)"

投稿者 iff : 09:44