急がされる子どもたち(7/8)

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「夜スペシャル」を導入した民間人校長は、当時、学校のホームページで「100万円単位のお金をかけられない家庭では、上位の高校にチャレンジすらできなかった。(略)和田中では月1万円出せば、3年生までに上位校を受験するチカラがつく。これこそ、完全ではないが『公平』な教育機会の提供だ」と語っていました。
「お金がある者と無い者が存在する格差社会は当然である」という考えがあるからこその発言です。

そんな元校長に同意し、東京都杉並区立和田中学校が学習塾・サピックスと提携してはじめた有料の「夜スペシャル」を肯定することは、「格差社会を是認する」ことになります。

お金が「ある」「なし」で、受けられる教育が変わってしまう。・・・それは教育格差が当たり前になるということです。それは必ず、世代間を連鎖して経済格差につながり、極端なお金持ちと、生活ぎりぎりの人が暮らす社会をつくっていきます。

それにもかかわらず、多くの日本人がこの状況を歓迎したのです。その状況に、私はとてつもなく大きな衝撃を受けました。

子どもは運命共同体

目先の利益に惑わされ、一見良さそうに聞こえる改革や改正を受け入れ続けてきた結果どうなったでしょう。

私たちは滑り台から転げ落ちないように、もしくはランニングマシーンに振り落とされないようにと、奔走させられることになりました。好むと好まざるとに関わらず、今の状況から転落しないためには、競争を生き延び、他者を蹴落とし、がむしゃらに前進するしかなくなってしまいました。

そこまでがんばっても、成功できるのはほんの一握り。格差は広がり続けています。今や労働者の約4割は非正規雇用。大企業の内部留保は年々進み、15年には375兆という過去最高を記録したのに、労働分配率は1997年の66%から43%台にまで落ち込みました(『ロイター』2017年3月6日)。

子どもは、そんなおとなと運命を共にしました。

競争のレースに乗せられた子ども

「稼げる人」になるため、幼い頃から競争にさらされるようになったのです。なにしろ見せかけの「ゆとり教育」で、学力が二極化されているのです。焦った親たちは、子どもを塾に通わせ、「競争に勝ち残れるように」と尻を叩きます。

そんな保護者と子どもを待っていたのは全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の実施です。その結果が公表されると、子どもも学校も地域も自治体も順位付けされ、選別されるようになりました。
すでに定着していた保護者が子どもの通う学校を選べる学校選択制や、成績別にクラスを分ける習熟度別授業も一役買ったことでしょう。

こうして子どもたちは否が応でも競争のレースに乗せられ、拒否すると「発達障害」などのレッテルを貼られ、「自己責任」として落ちこぼれの地位に甘んじるしかなくなったのです。(続く…

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Posted by iff