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2015年06月02日

機能不全社会(8)

 では、事件は防ぐことはできない悲劇だったのでしょうか。
 私はそうは思いません。

 報道によると、不登校だったこの男子生徒は、友人に「学校に行きたいけど、行けない」とつぶやいてみたり、年上の少年から暴力を受けており「殺されるかもしれない」と漏らしたりもしています。
  
 同級生ら身近な友だちの間では、男子生徒がかなり危ない状況に置かれていることは、周知の事実でした。
 しかし、子どもたちのだれもが、この事実をおとなに打ち明け、おとなに助けを求めようとはしなかったのです。

おとなが信頼されないのは当然

『東京新聞』(2015年3月15日)には、「大人には言いにくい」「言ってどうにかなるのかなと思ってしまう」などという、同世代の子どもたちの声が載っていました。

 その報道を読み、衝撃を受けると同時に「やっぱり」という思いがこみ上げてきました。
 今、私たちおとなが子どもから信頼に足る存在になっているとはとうてい思えなかったからです。

 たとえば私たちの社会は、あの3・11を経験し、30万人を超える原発避難者を生みました。震災から4年がたった今も20万人を超える人たちが故郷を追われています(復興庁)。
 しかしそれでも、私たちの社会は「経済性が高いから」「便利だから」と、原発を手放そうともしません。それどころか他国に積極的に売り歩いています。
 
「景気が良くなった」「完全失業率が減った」(総務省)というけれど、非正雇用者は相変わらず増えており、労働者全体の4割にも届く勢いで(厚生労働省)、格差社会はすっかり定着しました。

子どもの生活を脅かす社会

 つい先日は社会福祉に取り組んでいる知人から「東京都豊島区のホームレス炊き出しに子どもが並んでいた」という話まで聞きました。

 格差を是認する私たちの社会は、子どもの生活をここまで脅かしているのです。

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