2010年09月の一覧

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2010年09月08日

国連傍聴ツアーに行ってきました!(6)

image100908.jpg そして、さらにさらにすごいことに、国連「子どもの権利委員会」の最終所見は、子どもと親や教師との関係が希薄化している原因として、この間、政府がずっと行なってきた(民主党政権になってさらに強化されようとしている)(1)労働の規制緩和や民営化政策などに代表される企業優遇の施策を挙げました。
 
 そんな企業に利益をもたらす施策に多くのお金が使われる一方で、(2)社会保障や教育費をなるべく出さないようにする財政政策が取られてきたこと、(3)保育所や児童養護施設など、子どもに関する施設の最低基準や、子どもに関連する現場で働く人々の労働条件などの最低基準が低下の一途をたどっていること、(4)企業利益を拡大することを最優先課題とするがあまり、子どもへの予算配分が配慮されていないことなどが原因であるとし、(5)こうした施策を背後から操っている財界に対し、政府がまったく規制をかけようとしていないことをも問題視しています。

 もちろん、(6)少子化になっても変わらない相変わらず続く高度に競争主義的な教育制度についても見直すよう述べています。

政府の子ども施策は最終所見と逆行

 ところが、政権交代を果たした民主党政府がこれから進めようとしている子ども施策には、そんな国連「子どもの権利委員会」の最終所見は反映されていません。それどころか、逆行する内容になっています。

 たとえば、この6月に打ち出された「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」(新システム)を見てください。
 
 保護者と保育所運営団体との直接契約の導入、企業参入の促進を図るための最低基準の廃止など、今まで以上に市場開放・民営化を進めるものになっています。
 しかもその財源となる拠出金には「本人」(保護者)を含めたうえ使った分だけ負担する応益負担とするなど、「企業に優しく一般市民に厳しい」内容。新しい儲けの場を開拓したい財界が、長年訴えてきた要望に応えるかたちになっています。

 こんな新システムができあがれば、有期雇用の臨時アルバイト、派遣や短時間勤務保育者などが増加し、労働条件が悪化の一途をたどっている保育所にさらなるダメージを与えます。何しろ今、公立保育所では42.5%が非正規雇用。企業が設置・運営する保育所では、園長を含めてほぼ100%非正規雇用の園もあるくらいです。

民主党政府が目指す日本の姿は?

 子どもは特定のおとなとの継続的で安心できる関係性の中で、「生きる力」のもとになる自己肯定感や共感能力などを育てていくのに、不安定雇用を強いられていては、子どもをいつでも受容し、そのニーズを読み取って応えていくなどということは至難の業になります。

 ころころと保育者が変わる環境では、子どもとの間に継続した安定性のある関係など、つくりようがありません。

 このような新システムは、国連の最終所見「子どもの福祉や発達に大きなインパクトを与えている企業に対し、政府はきちんと規制すべき」(パラグラフ27、28の『子どもの権利と財界』)との『最終所見』に明らかに反しています。

 表面上のとりつきやすさや目先の新しさ、一見「リベラルに見える雰囲気」に目くらましをくうことなく、民主党がどんなアウトラインを描いて、どんな日本を目指して、私たち国民を引っ張って行こうとしているのか。党の代表選挙も近い今、改めて考えてみる必要がありそうです。

※写真は、レマン湖側から見た政府報告書審査会場であるパレ・ウィルソンの全景

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2010年09月21日

真夏の怪(1)

 いつもにも増してこの夏は、不可解なことがいっぱいありました。

 たとえば、大阪市のマンションで幼児二人が置き去りにされ、母親が死体遺棄容疑で逮捕された事件。
 この事件では、子どもの泣き声を聞いた近所の人々から何度も児童相談所に通報があり、計5回も児童相談所の方が訪問していました。110番通報を受けた警察官も部屋を訪ねていました。

 ところが、「訪問時に子どもの声がしなかった」とか「世帯構成が把握できないから」とそのまま帰り、強制的な手段に出ることもないまま、2人の子どもは命を落としました。

 政府も自治体も、「児童虐待防止!」と声高に叫んでいるのに、なぜこんなことが起こるのでしょう。

お年寄りの命を奪ったのはだれ?

 100歳以上のお年寄りの行方が分からなくなったり、高齢者が熱中症で亡くなる事件も相次ぎました。

 生活保護の受給者を減らそうとやっきになっているのですから、仕事がなく、親の年金だけを頼りに生活している中高年が親の死亡届を出さずに生き延びようとしたり、扇風機さえ置けない生活でも我慢しようとするのは、ある意味、当たり前の話です。
 
 それを「詐欺罪だ!」とか「福祉の手からこぼれ落ちた」などと大騒ぎする方が不思議です。

 もっと言えば、児童虐待も、老人の行方不明も、「家族が崩壊してしまった」と嘆き、倫理観の欠如の話に持っていくなんてもってのほかです。

 子どもや老人を見殺しにしているのは「崩壊した家族」ではなく、「家族がどうにかするべきだ」という自己責任論に他なりません。

 もし、倫理観を問うのであれば、切羽詰まった生活をしている一般人ではなく、世界でもまれにみる低い社会保障を平気で続ける政府と、その政府を背後から操っている人々の倫理観こそ問いたいものです。

不思議な就職応援事業

 昨今、さかんな就職応援事業も不思議です。

 子どもがいる女性向けのマザーズハローワーク、若者向けのジョブ・カフェなど、親しみやすいネーミングの仕事紹介所や、NPO法人などと連携した就職スキル向上プログラムなど、政府は確かに就職を応援するための事業をいくつも展開しています。

 でも、現実に目をやれば、今春卒業した大学生の就職率は約60%。前年度に比べて7.6%下回っており、高校生は約16%、中学生は0.4%で、過去最低(2010年8月発表の文部科学省の学校基本調査速報)。30代以上の女性では、非正規雇用から失職という憂き目にあう人がたくさんいます(『東京新聞』8月20日)。

 ところが、民主党になっても、こんな労働環境をつくってきた非正規雇用増加の元凶である労働者派遣法の改正案は骨抜きで、菅首相が唱える成長戦略は相変わらず企業利益最優先。

 椅子取りゲームで言えば、圧倒的に椅子の数が足りないのです。それなのに、椅子の数を増やすための根本的な努力はせず、「どうやったら椅子に座れるか」という相談窓口を増設したり、椅子取り練習の機会を増やすなんて施策に、いったいどれだけの意味があるのでしょうか。

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