2008年10月の一覧
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2008年10月06日
地域の再生と地域猫(3)
捜索開始
隣の飲み屋さんや、道を挟んだ隣の八百屋さん、向かいの割烹料理屋さんや数件先の居酒屋さんなどと声をかけあい、それぞれの店に来るお客さんにも聞いてみたりしながら、ミーちゃん探しが始まりました。
まずは自治体の動物保護しているセンター(昔でいう保健所)や、警察などに連絡。ミーちゃんらしき猫が保護されていないか確認しました。次に迷子のポスターをつくることにしました。実は私も、このポスターづくりを手伝いました。
ところが、困ったことに肝心のミーちゃんの写真がありません。みんな「前の携帯電話に保存していた」とか「昔のパソコンに取り込んでいた」などと言い、今は持っていないというのです。
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しょうがないので、パソコンでイラストの素材集から猫の絵を取り込み、似た模様に色づけをしてポスターをつくりました。そして迷子の呼びかけと一緒に「写真を持っている方はご連絡ください」と、美容院の電話番号を書き込みました。
ちなみに、イラスト素材を提供してくれたのは、このブログを管理してくださっているIFFの方です。
すごい反響
ポスターを貼ったところ、すごい反響がありました。
それまで、まったくあいさつもしたことがなかった通行人の人たちまでが、ポスターに足を止め、ときに涙ぐみながら美容院を訪れてはミーちゃんの行方を尋ねるようになりました。
それはもう驚くくらいたくさんの人たちでした。毎朝、駅に行く途中にご飯をあげていたOLさん姉妹、近所の歯医者さんやそこに勤める衛生士さん、買い物で通っていた主婦の方、人工透析を受けに病院に行く道すがらミーちゃんになぐさめられていたご夫婦、幼稚園の行き帰りに通っていた親子、駅を利用している高校生や商店街を通学路にしていた小学生・・・などなど、挙げればキリがありません。
そして毎日5〜6人の人が、美容院の周辺でミーちゃんにご飯をあげていたことが分かりました。
実はミーちゃんが避妊手術をしていたことも、このときに分かったのです。
なんと、裏通りにある金物屋さんがやってくれていました。そのうえ金物屋さんは、かつてミーちゃんが産んだ子猫たちを全員、育てていました。全部で7匹にもなります。
本当はミーちゃんも飼い猫にしようと思ったそうなのですが、何度、家に連れ帰ってもまた商店街に戻って行ってしまったとのこと。
「でも、商店街の人に首輪もつけてもらってみんなにかわいがられているから」と、毎日ご飯だけをあげに来ていたことが分かりました。
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2008年10月16日
地域の再生と地域猫(4)
毎日、出勤前と帰宅時にご飯をあげていたOLさん姉妹は、土日になると自転車を飛ばして近所を探して歩きました。日々の寝床を提供していた美容院の人たちは空き家やビルの隙間を捜索。
いつも美容院に来ていたあるお客さんは、「遠くで見かけたこともあるから」と、半径1キロ以内を探して歩きました。
美容院の経営者は、「遠くに連れて行かれたかもしれないから・・・」と、休みの日に車で、野良猫が多いと評判の公園や河川敷なども見に行きました。
割烹屋さんの板前さんが「隣駅のスーパーの駐車場で似た猫を見た」との情報が入り、一縷の望みをかけて私も探しに行きました。
それ以外にも相変わらず大勢の人が、美容院のドアを開けては「ミーちゃん、見つかった?」と声をかけて行きました。
いつもミーちゃんと会うことが楽しみで母親と一緒に美容院に来ていたという幼稚園の子は、
「だれかに連れて行かれちゃったのかな? 猫は意地悪すると化けて出るっていうから、そういうことした人は怖い目に遭うよ」
と泣いていたとか。
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写真が届いた!
そんなことが続いていたある日、とある男性が美容院のドアを叩きました。
「これ、よかったら使ってください」
そう言って、ミーちゃんの写真をCDに入れて置いて行ってくれたのです。
もちろん、それまで美容院に来たことがあるわけでもない、まったく見ず知らずの間柄でした。
男性が訪ねて来た日は日曜日。「平日は早朝から仕事に行ってしまうため、なかなかお店が開いている時間に届けられませんでした」と、わざわざ休みの日に届けてくれたのです。
そのうちの1枚が、前にこのブログに掲載されていた写真です。
写真入りのポスターを作成
すぐにポスターをつくり直し、今度は写真入りのものを貼りました。近所にも配りました。
さらにインターネットの「迷子猫サイト」にも登録しました。
すると、もっと多くの人からも反響がありました。
「うちのお店にも貼ってあげる」と言うスナックや料理屋さん。
「児童館に貼らせてもらえないか聞いてみる」と言ってくれた主婦。
「自治会の集まりで配りたいからたくさんチラシが欲しい」と電話をかけてきてくれた美容院のお客さん。
・・・それこそ挙げればキリがないほどの人たちが、毎日毎日、ミーちゃんを見つけるために奮闘していました。
私も「ポスターが欲しい」と言う人がいるたびに、メールやファックスで送ったりました。
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2008年10月27日
地域の再生と地域猫(5)
地域総動員でミーちゃんの捜索を開始してから約一月半がたった頃です。あるひとりの女性が美容院を訪れました。
近所の猫好きの方から
「最近、お宅にご飯をもらいに来る猫のポスターを駅前あたりで見た気がする」
と聞き、気にしながら習い事に向かう途中、ポスターが目に留まったとか。
「ここ1〜2ヶ月くらい家にご飯を食べに来ている猫だと思います。人なつっこい猫だし、首輪もしていたので気になっていました」
そう話す女性に
「今度、ご飯を食べに来たら、ミーちゃんを捕まえておいてください」
とお願いし、その夜、数人で引き取りに行きました。
しばらくぶりに会ったミーちゃんは、少し痩せたようでした。一回り小さくなって、体も汚れ、怖い目に遭ったのかちょっとオドオドしていました。連れて帰る途中の車の中で、何度も不安げに「ナ〜」と、かぼそい声で鳴きながら、窓の外を見ていました。
心配していた商店街の人たちのお店にミーちゃんを連れて報告に行くと、みんな商売そっちのけで外に出てきました。涙を浮かべながら、「どこにいたの?」「よく戻って来たね」と、代わる代わる声をかけます。まだよく事情が飲み込めないらしいミーちゃんはキョトンとしたまま、みんなの腕に抱かれていました。
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またまたポスター作成
翌日、さっそく「ミーちゃん、戻って来たよ!」のポスターを作成。商店街のあちこちに貼ってもらいました。
それから数日、ミーちゃんは美容院の指定の場所(電気マットの上)で、暇さあえあればずーっと眠っていました。ご飯はもらえていたかもしれませんが、安心して眠る場所が無く、精神的によほど疲れたのでしょう。
でも、続々と尋ねてくるお客さんで、なかなかぐっすり眠れません。ポスターを見ては、心配していた人が一人、また一人「ミーちゃん見つかったんだって!」と尋ねて来ます。 そのたびにミーちゃんの眠りは妨げられ、しばらくの間、ひとしきり話しかけられたり、抱かれたり、撫でられたり・・・アイドルは休む間もない感じでした。
そんな状態が、それこそ一月以上も続き、またまたミーちゃんの根強い人気を再確認させられました。
「顔見知り」がいっぱいに
それから数ヶ月。商店街周辺では、「名前は知らないけど顔見知り」な人たちがやたらに増えました。「学生さん」「会社員の男性」「OL姉妹」「主婦の人」・・・以前は、商店街を無言で通り抜けていた人たちが、あいさつを交わすようになりました。
中には、ミーちゃんのご飯を美容院に預けて行く人もいます。・・・みんなで話合ってミーちゃんのご飯は美容院の周囲であげることに決めたからです。
ミーちゃんが発見された公園は商店街から4〜5キロ離れたところ。とても猫の足で歩いて行ける距離ではありません。首輪に付けていた名札も取られていました。そうしたことから、「ミーちゃんにご飯をあげることをよく思わない猫嫌いの人が捨てたのではないか」との説が有力になったためです。