特集1 子どもの性虐待被害開示
抄録:
目的 本研究は子どもが性的虐待を開示するまでの時間と関連する変数について調べ、開示までの時間に関するモデルを検証することを目的とする。
方法 地区検事局に送検された218件の子どもへの性的虐待ケースについて、データを収集した。虐待が起きてから子どもがその経験を大人に話すまでの時間に影響を与える変数として、子どもの年齢、性別、虐待のタイプ(家族内か、家族外か)、虐待についての責任の感じ方、開示後のマイナス影響への危惧の5つを仮定した。これらの変数を用いて、性的虐待被害開示に影響を与える要因のモデルを構築した。結果年齢、虐待のタイプ、開示によるマイナス影響への危惧、責任についての感じ方は、開示までの時間に関与していた。開示モデルは有意に支持され、年長で、近親姦を経験し、自責感が強く、開示によるマイナス影響を危倶している被害児ほど、開示までに時間がかかっていた。
結論 性的虐待の開示への他者の受容性に対する子どもの認知的評価と、子どもの自責感が、開示するか否かを決める鍵である。性的虐待の被害が疑われる子どもの評価を行う際には、発達面、認知面、社会心理的要因を考慮に入れるべきである。
索引用語:
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