総説

母乳育児推進と母子支援 産科施設での取り組み

笠松堅實(笠松産婦人科・小児科)

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はじめに:
 日本子どもの虐待防止研究会・第4回学術集会・和歌山大会に参加して、あらためて気になったことは、「子どもの虐待」の問題は、母と子の問題であるにも拘わらず、母と子の始まりに立ち会い、そしてともすれば母と子の将来に重大な影響を与えかねない医療に携わる産科医(産婦人科医)の参加が極めて少ないことです。しかしながらその中で「母子関係づくり」の重要性を意識し、何らかの支援を試みている産科医、産科施設がないわけではありません。

 私たちの施設は、故山内逸郎先生との出会い以来、母乳育児の保護、推進、支援に努め、その実績により、1996年の母乳育児シンポジウム(日本母乳の会主催)において、ユニセフより「赤ちゃんにやさしい病院」に認定されました。私たちは、母乳育児が、人間社会の基本的な営みとして不可欠であり、また現代の混迷する「母」と「子」、「母子関係」の再生にとても有用であると考えています。

索引用語:

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