「治療におけるパラドクスとは」(斎藤学)

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目次

  1. 症状を「治さない」
  2. 「何もかも捨ててしまいたい私」
  3. 生きる目的は、「楽しい」と思うこと

抜粋

いわゆるニートや引きこもりと言われる人たちは病気でも何でもなくて、世の中が彼らを締め出しているのであって、彼らに場所を与えるのは大事な仕事でしょう。
彼らが暴れるとすれば、おかしなところに押し込められてわけがわからなくなるからです。しかも親から「働け働け」と言われるから、そう言う口をとにかくふさぎたくて殴ってしまう。

親に対する彼らの言い分は、「こんな育て方したお前が悪い」「お前たちがセックスして俺を産んだんじゃないか」。
ここまで言うのは、子どもとして相当追い込まれている時です。
彼らの心の基盤にあるのは「申しわけない」とか、「こんな私でごめんなさい」ということです。「ごめんなさい」なんて言っちゃったら死ぬほかないから、とりあえず攻撃に出るしかない。